[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は20日、短期金融市場の安定を保つために10月初旬まで資金供給を継続する方針を示したが、アナリストの間ではFRBは長期的な対策を実施する必要があるとの見方が出ている。

今週は短期金融市場で銀行や企業が資金調達する際に支払う翌日物レポ金利が上昇し、一時は2008年の金融危機以来の水準に達した。17日の取引でレポ金利<USONRP=>は一時10%に上昇し、他の短期金利もこれにつられて急上昇。アナリストは四半期の法人税納付のほか、前週に財務省が実施した総額780億ドルの国債入札のほか、銀行の超過準備の減少などが作用したとの見方を示している。

こうした中、FRB傘下のニューヨーク連銀は17日から20日まで4日連続でレポ取引を通じた資金供給オペを実施。資金供給額は合計で2781億5000万ドルに達した。こうした中、19日のフェデラル・ファンド(FF)金利の実効レート<USONFF=GCMN>は1.90%に低下し、13日以降で初めてFRBの誘導目標上限を下回った。

KBWのアナリストは「FRBは銀行に対するバックストップを提供し、レポ金利の上昇につながった需給不均衡の解消につながった」とした。

FRBは18日、銀行の超過準備に適用する付利(IOER)を30ベーシスポイント(bp)引き下げ1.80%にとしたほか、レポ金利を1.70%と、FF金利の誘導目標下限を5bp下回る水準に設定。これに続きニューヨーク連銀は20日、翌日物やターム物のレポオペ(債券を担保に資金を供給するオペ)を9月23日から10月10日にかけて行うと発表した。

一部アナリストは、FF金利の実効レートがFRBの誘導目標上限を上回ったことでFRBは警戒を強めたと指摘。こうした状況が続けば、FRBは短期金利をコントロールできなくなっているとの懸念が市場で台頭する懸念があったとしている。

ただ、ジャネイ・モンゴメリ・スコット(フィラデルフィア)の首席債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏は「資金調達の逼迫につながった基調的な要因はまだ存在している」と指摘。レポ取引による資金供給は一時的な対策として効果はあるが、アナリストはFRBには恒常的な対策を導入する必要があるとの見方を示しており、恒常的なレポ・ファシリティーの設置のほか、国債買い入れ枠の増額などを検討する必要があるとの意見が出ている。

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