[20日 ロイター] - <為替> ドルが主要通貨に対し上昇。週間でも3週ぶりに上昇した。米中通商協議への期待や、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に利下げに動かないという見方がドル買いを後押しした。

英ポンドは下落。英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、双方の溝はなお大きいとするアイルランド外相の発言がポンド売りを誘った。

前日始まった米中通商交渉の次官級協議はこの日も継続。10月の閣僚級協議に向けた地ならしとして注目される。

FXストリートのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサーニ氏は、関税や貿易摩擦の影響が世界の企業活動の足かせになるとの懸念が台頭しているものの、米経済は他国に比べ持ちこたえていると指摘。「依然、ドル上昇を想定する」と述べた。

この日は複数のFRB当局者が発言したが、米景気判断や対応を巡り見解に開きがみられた。

CMEのフェドウォッチによると、63%の確率で年末までにあと1回の利下げが実施されるとの見方が織り込まれた。前日終盤は69%だった。

終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.24%高の98.51。週間上昇率は約0.25%。

ユーロ/ドル<EUR=EBS>は0.2%安の1.10175ドル。

ドル/円<JPY=>は0.37%下落し、107.645円。 

ポンドは対ドル<GBP=D3>で0.37%安の1.2476ドル、対ユーロ<EURGBP=D3>でも0.15%安の88.26ペンス。

欧州委員会のユンケル委員長が前日、英国とEU離脱協定案を巡り合意は可能との考えを示したことを受け、ポンドはオーバーナイト取引で対ドルで2カ月ぶり高値、対ユーロで4カ月ぶり高値を付けていた。しかし、アイルランドのコーブニー外相が英国とEUがまだ合意には近付いていないと述べたことや、ジョンソン英首相が合意に懐疑的な見方を示したことが重しとなり、ポンドは下げに転じた。

<債券> 国債に買いが入り、利回りは低下した。中国の代表団が来週予定していた米モンタナ州の農家の視察を中止し、当初の予定を早めて帰国すると伝わったことで、米中が近い将来に通商合意に達する公算は小さいとの見方が台頭したことなどが背景。

米中の通商問題を巡る次官級協議が2日目を迎える中、トランプ大統領はこの日、中国との通商交渉は進展していると発言。ただモンタナ州の農業団体はロイターに対し、中国の代表団が来週予定していた同州の農家の視察を中止したことを明らかにした。

米10年債<US10YT=RR>利回りは1.755%と、前日の1.774%から低下した。

この日はこのほか、連邦準備理事会(FRB)傘下のニューヨーク連銀がフェデラル・ファンド(FF)金利を誘導目標内に維持するため、翌日物やターム物のレポオペ(債券を担保に資金を供給するオペ)を9月23日から10月10日にかけて行うと発表。国債に買いが入る要因となった。

ナットウエスト・マーケッツの米州G10FX戦略部門責任者、ブライアン・ダインジャーフィールド氏は「市場ではレポ取引の方がFRBそのものよりも大きな注目を集めている」と指摘。FRBによる資金供給が「長期的な資金調達コストに対しどのような意味合いを持つのか市場で注目されている」と述べた。

FRBは17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75─2.00%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを7対3で決定。7月に続き今年2回目の利下げとなった。

市場では年内にさらに追加利下げが実施されるか注目されている。今回新たに公表されたFRB当局者の金利・経済見通しで示された予測中央値は、金利が2020年を通して新たなレンジ内にとどまるというものだった。ただFRBに内在する見解の相違を反映し、政策当局者17人のうち7人は25bpの利下げが年内あと1回実施されるとの見通しを示す一方、5人は金利据え置きを予想。5人は年内に利上げが必要になるとの見方を示した。

ダインジャーフィールド氏は「今月は各国中銀の緩和が相次いだ」とし、「債券市場では利回り曲線の平坦化が見られ、これはFRBだけでなく、主要10カ国(G10)の中銀が今月に入ってからもたらしたハト派的な失望感を反映している」と述べた。

米債券市場では2年債と10年債の利回り格差<US2US10=TWEB>は3ベーシスポイント(bp)と、18日のFOMC声明発表前の7bpから縮小した。

この日はFRB当局者から景気減速や金融リスクなどを巡るさまざまな見解の表明が相次ぎ、FRB内で意見が分かれていることが改めて浮き彫りになった。

<株式> 下落し、ダウ平均株価は159ドル安で取引を終えた。中国代表団が米モンタナ州の農家への視察を取りやめ、米中通商交渉への期待に水を差す格好となった。

モンタナ州当局によると、中国の代表団は来週予定していた同州の農家へ視察を中止。当初の予定よりも早く中国に帰国する見通しという。

ベアードの市場ストラテジスト、ウィリー・デルウィッチ氏は「トランプ氏ではなく中国側が決断したという点で、やや気掛かりだ」と述べた。

トランプ大統領は、中国との「全面的な」通商合意を望んでおり、中国による米農産品購入だけでは不十分と言明。「米国は完全な形での合意を求めており、部分的な合意ではない」とし「中国は先週、米農産物の購入を再開し、購入規模は非常に大きい。しかし、私が求めているのはより大きな合意だ」と語った。

S&P総合500種指数<.SPX>は7月に付けた最高値に迫る勢いとなっている。

業種別では11業種中8業種が下落。一般消費財株<.SPLRCD>や情報技術株<.SPLRCT>などが値下がりした。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)<.SOX>は1.8%安。

動画配信サービス大手ネットフリックス<NFLX.O>は5.5%安。へースティングス最高経営責任者(CEO)の発言からコスト増や他社との競争激化が浮き彫りになった。

動画ストリーミング用機器メーカーのロク(Roku)<ROKU.O>は19.2%急落。ピボタル・リサーチが売り推奨でカバーを開始した。

半導体のザイリンクス<XLNX.O>は6.8%安。フロレス最高財務責任者(CFO)が退任すると表明した。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.01対1の比率で上回った。ナスダックは1.03対1で値下がり銘柄数が多かった。米取引所の合算出来高は98億株。直近20営業日の平均は71億株。

<金先物> 中東情勢の緊迫化への懸念や米中貿易協議をめぐる先行き不透明感から安全資産としての金が買われ、反発した。中心限月12月物の清算値は前日比8.90ドル(0.59%)高の1オンス=1515.10ドル。週間では1.04%高となった。プラスでの越週は4週ぶり。

米政府は20日、新たにイラン中央銀行に対する制裁措置を発表した。サウジアラビアの石油関連施設への攻撃を受け、米国などが関与を主張するイランへの圧力をさらに強化した。これを受けて中東情勢が緊迫化するとのリスク警戒感が再燃し、「有事の安全資産」とされる金塊は買い戻しが活発化した。

さらに米中貿易協議の先行き不透明感が浮上し、清算値確定間際に買いに拍車が掛かった。19日から開催の米中次官級貿易協議のためワシントンを訪れている中国代表団が、来週の農家視察を中止し、予定を切り上げて帰国するとの報道がきっかけ。米中の閣僚級貿易協議を10月上旬に控え、協議の進展期待に水を差された格好となった。12月物は清算値確定後も買いが優勢で、午後2時25分現在は1520.50ドルと、上げ幅を拡大している。

<米原油先物> 米中貿易協議の行方に警戒感が広がり、小反落した。この日納会を迎えた米国産標準油種WTI10月物の清算値は前日比0.04ドル安の1バレル=58.09ドルだった。11月物は0.10ドル安の58.09ドル。

米中は19日から次官級の貿易協議を開催したが、ロイター通信は20日、中国の代表団が、来週予定していた米モンタナ州の農家視察を中止したと報じた。これを受けて、協議への懸念が再び台頭。米株式相場がマイナス圏に沈むなど投資家のリスク回避姿勢が強まり、原油にも売りが広がった。

ただ、週末や納会を控えてポジション調整目的の買い戻しが入ったこともあり、下値は堅かった。熱帯低気圧「イメルダ」による洪水で一部の主要製油所の稼働が停止したと伝わり、供給不安が広がったことで原油が買われたとの見方もあった。

米政府は20日、新たにイラン中央銀行に対する制裁措置を発表。サウジアラビアの石油関連施設への攻撃を受け、イランへの圧力をさらに強化した。サウジをめぐる地政学的リスクがくすぶっていることも相場を支えた。

ドル/円 NY終値 107.55/107.58 <JPY21H=>

始値 107.95 <JPY=>

高値 108.02

安値 107.54

ユーロ/ドル NY終値 1.1017/1.1019 <EUR21H=>

始値 1.1041 <EUR=>

高値 1.1043

安値 1.0997

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 102*00.00 2.1588% <US30YT=RR>

前営業日終値 100*26.50 2.2120%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*04.00 1.7215% <US10YT=RR>

前営業日終値 98*21.00 1.7740%

5年債(指標銘柄) 17時05分 98*11.00 1.6002% <US5YT=RR>

前営業日終値 98*03.75 1.6480%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*20.63 1.6872% <US2YT=RR>

前営業日終値 99*17.38 1.7400%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 26935.07 -159.72 -0.59 <.DJI>

前営業日終値 27094.79

ナスダック総合 8117.67 -65.21 -0.80 <.IXIC>

前営業日終値 8182.88

S&P総合500種 2992.07 -14.72 -0.49 <.SPX>

前営業日終値 3006.79

COMEX金 12月限 1515.1 +8.9 <GCv1><0#GC:>

前営業日終値 1506.2

COMEX銀 12月限 1784.9 ‐3.5 <SIv1><0#SI:>

前営業日終値 1788.4

北海ブレント 11月限 64.28 ‐0.12 <LCOc1><0#LCO:>

前営業日終値 64.40

米WTI先物 10月限 58.09 ‐0.04 <CLc1><0#CL:>

前営業日終値 58.13

CRB商品指数 177.3370 ‐0.4280 <.TRCCRB>

前営業日終値 177.7650