[チューリヒ 19日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は19日、主要政策金利の据え置きを決定し、長期にわたり超低金利スタンスを維持する見通しを示した。

欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)は世界経済の減速に対応するため、利下げに踏み切っているが、追随しなかった。

大方の予想通り、SNB政策金利をマイナス0.75%で据え置いた。中銀預金金利もマイナス0.75%で据え置いた。

一方でSNBは、銀行の準備金にマイナス金利を適用する基準を緩和した。

新規則は11月1日から適用され、月次での調整が可能。これまでは銀行に法定準備預金額の20倍相当までマイナス金利を免除していたが、これを25倍に拡大した。

スイス銀行協会(SBA)はこれを歓迎するコメントを発表した。銀行はマイナス金利により年間20億スイスフラン(20億2000万ドル)を支払っているという。

SBAの広報担当者は「追加利下げがなく、マイナス金利免除の基準が拡大されたことは良いこと。ただ、マイナス金利は依然として銀行にとって負担だ。年金基金、小口顧客、スイス経済全体にとって問題となっている」と述べた。

今回の基準緩和は、マイナス金利に不満を抱く銀行を支援し、顧客への負担転嫁を思いとどまらせる狙いがある。

また、SNBによるスイスフラン押し下げのための為替介入の結果、当座預金残高が膨らんだことも認識した。2011年7月に560億フランだった残高は、6月末時点では4710億フランまで拡大した。

SNBは声明で「今回の措置は、世界的な低金利環境がより定着しまだ続く可能性があることを考慮したもの」と説明した。

為替については「スイスフランは過大評価されている」との表現を維持。

国内総生産(GDP)とインフレの見通しは世界経済の減速を反映して引き下げた。

スイス中銀のジョルダン総裁はスイスのSRF放送に対し、低金利環境が長期間にわたり継続すると予測されるため、銀行の準備金にマイナス金利を適用する基準を緩和したと説明。「銀行のための措置ではなく、現在見られている世界的な低金利環境が長期にわたり継続するとの見通しに基づいた措置」だとし、「近い将来に金利がプラス圏に戻るとは予想していない」と述べた。

*内容を追加しました。