[ロンドン 18日 ロイター] - 欧州航空機大手エアバス<AIR.PA>は18日、今後20年間の旅客機と貨物機の納入予想を従来の3万7389機から3万9210機に上方修正した。理由として、中国国内の旅行需要が10年以内に欧米を追い越すと見込まれることに加え、インドやベトナムなどの新興国の成長とアジアの中産階級拡大を挙げた。

エアバスは、小型機の需要見通しは従来より4%引き上げ2万9720機としたが、「A330ネオ」などの中型機は従来より2%低い5370機と予想。大型機は4120機と見込んだ。

一方で航空機業界は、世界的な貿易摩擦やグローバル化の一部巻き戻しのほか、特に欧州における環境保護活動家による飛行ボイコット運動といった圧力に直面している。

さらに新たな不安要因として、航空機への補助金を巡る欧州連合(EU)と米国の対立が長期化する中で、世界貿易機関(WTO)が米国によるエアバス旅客機を含む欧州製品への関税賦課を暫定承認したことが挙げられる。

エアバスのクリスチャン・シェアラー最高執行責任者(COO)は、関税について「最終的に航空機と航空券価格に影響する」と指摘。米国とEUの間で関税の応酬になれば、双方にマイナスの影響をもたらすと警告した。

また、スウェーデンの環境保護活動家グレタ・トゥーンベリ氏が米議会で気候変動への対応を求めた週にエアバスは、業界の二酸化炭素(CO2)排出量削減実績を強調。新たな技術によって好調な旅行需要を満たしながらCO2削減目標を達成できると主張した。

環境保護団体は地球温暖化を食い止めるためにより抜本的な措置が必要だと訴える一方、シェアラー氏は「われわれは脱炭素に向かっているが、単独ではできない」と述べ、持続可能なバイオ燃料への投資を求めた。