[東京 19日 ロイター] - 日銀は18―19日に開いた金融政策決定会合の声明文で、海外経済の減速が続き下振れリスクが高まりつつあるとして、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれに「より注意が必要な情勢になりつつある」との文言を新たに追加した。来月の金融政策決定会合で、経済・物価動向を改めて点検すると表明した。

決定会合では、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決定。政策金利のフォワードガイダンス(指針)も「当分の間、少なくとも2020年春頃まで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」との表現に変更はなかった。

海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きいもとで、先行き、物価安定目標へのモメンタムが損なわれるおそれが高まる場合には「ちゅうちょなく、追加的な金融緩和措置を講じる」と改めて明記した。

日銀は、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融緩和政策の維持を決めた。上場投資信託(ETF)など資産買い入れの目標額も据え置いた。

長期金利は「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」、ETFと不動産投資信託(REIT)は「市場の状況に応じて、買入額は上下に変動しうる」との方針も維持。長期国債の買い入れは、保有残高の年間増加額を「80兆円をめど」としつつ、「弾力的な買い入れ」を継続する。

YCCについて、原田泰、片岡剛士の両審議委員が反対した。原田委員は、長期金利の変動許容は「金融市場調節方針として曖昧すぎる」と主張。片岡委員は「短期政策金利を引き下げることで金融緩和を強化することが望ましい」とし、緩和手段を具体的に示した上で反対した。

政策金利のフォワードガイダンスについても両審議委員が反対した。原田委員は、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンス導入が適当だと主張。片岡委員は、フォワードガイダンスを物価目標と関連づけたものに修正することが適当だと主張した。

<景気・物価>

日銀は国内景気について、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けると予想。消費者物価の前年比は、需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に「2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」と指摘した。

ただ、海外経済の下振れリスクが高まりつつあるとし、企業や家計のマインドへの影響を注視する方針を示した。

片岡委員は、消費者物価の前年比について、先行き2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして反対した。

(和田崇彦、志田義寧 編集:内田慎一)