[ワシントン 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が17日発表した8月の鉱工業生産指数は製造業部門が0.5%上昇し、市場予想の0.2%上昇を上回った。機械や一次金属製品の生産が増えた。ただ貿易摩擦や世界経済の鈍化を背景に製造業の見通しは引き続き軟調だ。

7月は0.4%低下していた。

8月の前年同月比は0.4%低下だった。

米経済の約11%を占める製造業は、ここ1年間続いている米中貿易摩擦や、世界経済の鈍化が重しとなっている。貿易摩擦によって景況感が悪化し製造業の低迷につながっている。皮肉にもトランプ政権は海外企業との不公平な競争から米製造業を守ると主張してきた。

米中協議が行き詰まる中、悪影響がより広範な経済に波及するとの懸念は、米連邦準備理事会(FRB)が18日に再び利下げを決める材料になるとみられる。米国の景気拡大は11年目に入っており、過去最長期間続いている。経済成長が続くようにFRBが対策を打つとの見方だ。FRBは17-18日の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。7月の会合では2008年以来初めて利下げに踏み切った。

製造業指数の内訳は、自動車・同部品が1.0%低下。前月は0.5%上昇していた。自動車・同部品を除く製造業指数は0.6%上昇。前月は0.5%低下していた。機械は1.6%上昇。前月は1.7%低下していた。

製造業以外では、鉱業部門が1.4%上昇し、前月の落ち込みから持ち直した。結果として全体の鉱工業生産指数は0.6%上昇し、18年8月以来の大幅な伸びとなった。前月は0.1%低下していた。8月の前年同月比は0.4%上昇。

電力・ガス掘削は2.5%低下し、2カ月連続のマイナスだった。公益部門は0.6%上昇した。

企業がどれだけ十分に設備を稼動しているかを示す設備稼働率は製造業部門が75.7%と、前月の75.4%から上昇した。公益部門と鉱業部門を含む全体の設備稼働率も77.9%と、前月の77.5%から上昇した。1972―2018年の平均を1.9%ポイント下回っている。FRBは、経済に内在する需給の緩みを見るために設備稼働率に注目している。

RDQエコノミクの首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「製造業に通商関連のスランプから脱却しつつある兆候が見られると判断する前に、9月もしっかりした上昇を確認したい」と述べた。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「製造業や設備投資は今後数週間、圧力を受け続けるとみている」とし、貿易を巡る不透明感、世界的に弱い経済成長、ドル高が米輸出の障害になっていることを要因として挙げた。