【井上慎一】日本初のLCC「ピーチ」をゼロから立ち上げた男の天命

2020/2/2
日本初のLCC(Low Cost Carrier)として、2012年3月に運航を開始したPeach(ピーチ)。関西国際空港に拠点を置き、「空飛ぶ電車」をコンセプトに掲げるなど、従来の航空会社とは一線を画す独創的な発想や戦略で、低コスト化を実現してきた。2019年11月にはバニラエアを統合し、アジアのリーディングLCCを目指している。

そんなPeachをゼロから立ち上げ、牽引してきたのが、CEOの井上慎一氏。「日本とアジアのかけ橋になる」というPeachの使命は、中学時代からアジアとの縁に導かれた、井上氏自身の使命でもあるという。

井上氏のリーダーシップの原点や、LCCを天命とするに至ったルーツから、その哲学に迫る。(全7回)

LCCは「低コスト航空会社」

Peach(以下ピーチ)は、関西国際空港を拠点とする航空会社です。日本初のLCC(Low Cost Carrier)として、2012年3月に運航を開始しました。
2012年3月1日、関西国際空港でPeach就航セレモニーを開催
LCCというと、日本のメディアでは「格安航空会社」とされることが多く、従来の航空会社(FSC=Full Service Carrier)と比べて、「安かろう、悪かろう」というイメージを持たれることもあるようです。
しかし、“Low Cost”は本来は格安ではなく、「低コスト」を意味します。
運賃を抑えるためにお客様へのサービスをないがしろにすることは決してなく、徹底した低コストによって生産性を向上させることで、低価格の運賃を実現しているのです。
LCC後進国の日本で、そのLCCの本質と、従来の航空会社との違いを明確に打ち出していくために、ピーチでは独自のコンセプトを掲げています。