【星﨑尚彦】MBA、世界のトップテンでなければ意味がない

2020/1/9
プロ経営者と呼ばれる人たちがいる。職業=社長業。業種や規模に関係なく、経営の手腕を発揮する。メガネスーパー社長の星﨑尚彦氏はそんな1人だ。

三井物産、スイスのビジネススクールIMDを経て、初めて経営に携わったのは33歳のとき。すでに社長歴は21年になる。フラー・ジャコージャパン、ブルーノマリジャパンなど外資系企業のトップを務めたほか、2011年からはアパレルメーカー、クレッジの経営再建に力を尽くした。そして13年7月、メガネスーパー社長に就任。8年連続赤字で倒産寸前だった同社を奇跡的なV字回復へと導いた。

いじめられっ子だった少年時代、将来何をやりたいか分からなかった青春時代を経て、いかにプロ経営者という職業にたどり着いたのか。星﨑氏のこれまでを振り返りつつ、その哲学に迫る。(全7回)

人事に噛みつく

三井物産には10年在籍しましたが、生意気な社員でしたね。
例えば、こんなことがありました。入社3年目にバブルが崩壊したとき、人事から「部長以下の社員は全員、海外出張時はエコノミークラスで行くように」という通達が出たのです。
1994年、三井物産時代、海外出張先で。右が星﨑氏。
僕は人事に「おかしいじゃないですか」と噛み付きました。
「バブル崩壊の影響で、仮に会社の業績が悪くなったとしたら、その原因をつくったのは今の上層部だ。部長以上こそエコノミークラスに乗るべきで、僕らのような未来ある若手社員はビジネスやファーストクラスに乗せるべきじゃないですか。やっていることが本末転倒だ」と。
会社からはこっぴどく怒られ、揚げ句の果てに当時役員になっていた親父まで「お前の息子は教育がなっとらん」と注意を受けました。それでも僕は正しいことを言っていると思っていましたね。

「若いから待て」はおかしい