【辻󠄀 庸介】マネックス松本大さんの教え「付き合わない人を選べ」

2020/1/15
「お金の課題をテクノロジーで解決したい」。そんな思いから起業したマネーフォワードの社長・辻󠄀庸介氏は、シャープの第2代社長・佐伯旭氏を祖父に持ち、幼い頃に薫陶を受けた。

京都大学農学部卒業時に研究の道ではなく、東京で就職しようと考えたが、就活に出遅れ海外へ。モラトリアム期間を経て、ソニーに就職し、経理部に配属される。社内公募で当時できたばかりのマネックス証券へ出向、松本大社長(現会長)の仕事の仕方を傍らでつぶさに見てきた。

経営者となっても学び続ける辻󠄀氏が、これまでのビジネス人生を振り返り、その哲学を明かす。(全7回)

松本さんに近いほうの肩がこる

当時のマネックス証券はまだ創業したばかり。人数も30〜40人しかいない。毎日ドタバタのカオス状態です。でもそのカオスが刺激的でもありました。
僕が配属されたのはマネックスのCEO室。つまり社長の松本大さんのすぐ隣で働くことになったのです。
松本大さん(写真:遠藤素子)
入社してしばらくたったころ、「俺、なぜかいつも左側の肩ばかりこるんだよな」とポロッとこぼしたら、「それって絶対、松本さんに近いほうの肩が緊張しているんだよ」と指摘されて「そうか!」と気づきました。
確かに松本さんは僕の左隣の席に座っています。松本さんに、「おい、辻󠄀」と呼ばれたら、すぐに「はい!」と返事をしないといけないから、常に緊張感があった。それが肩こりとなってあらわれたのでしょう。
しかし優秀な人の近くで一緒に仕事ができるという環境は、学ぶことが多いという点で、なにものにも代え難い価値があります。
僕はその後、マネックス証券で9年間働き、35歳で独立するまで、松本さんをはじめ、先輩方に実にさまざまなことを教えてもらいました。
このとき教えてもらったことは、僕のビジネス人生のなかで一番大きな面積を占めています。