【天沼 聰】起業のスキルを身につけるため、コンサル会社に就職

2019/12/11
2015年2月開始の月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」が大きく成長している。約300ブランド・10万点の中からプロのスタイリストによって、ユーザー別にコーディネートしてくれた洋服が自宅に届く。

ファッションレンタルサービスの中でも「普段着に特化」し、「選ぶのはプロのスタイリスト」という点が特徴だ。月額6800円(+税)から手軽に利用できることから、20代後半~40代を中心とする女性に注目されている。

ライフスタイルの中で「新しいファッションや自分との出会い体験」という価値を届けるサービスは、4年半で会員数は25万人を超えた。ファッション業界に新たな視野と可能性を見せるその事業モデルやサービスには、“ファッション業界新参者”ゆえの徹底した世界観の追求と、実行力があった。創業者の一人で、社長兼CEOの天沼聰氏の哲学に迫る。

ロンドン大学に進学

アイルランドの高校を卒業した後は、イギリスへ。ロンドン大学のゴールドスミス・カレッジへ進学しました。コンピューター・インフォメーション・システムズという、情報・ITシステムを専攻しました。
2002年、大学の卒業式で同級生と
小さな頃からパソコンが大好きで、小学校低学年のときにパソコンに初めて触り、使っていました。
中学生になるとポケットコンピューターのキットでイチからパソコンをつくる工作のようなことも。ベーシックやプログラミングを学んでパソコンを動かしてみるなど、高校も大学もずっとコンピューターは好きでした。
インターネットが登場してインターネットに触れて、その可能性を感じてより一層興味は深まりました。インターネットを使っている人はまだごく一部で、当時は56kbpsのモデムを使っていました。
データ転送速度が遅く、1枚の写真を見るのにも「ツ、ツ、ツ、ツ……」と時間をかけて通信してやっと見られる時代でしたが、海外生活をしていると国際電話という面倒な手続きを踏まなくても、メールを使えばコミュニケーションができました。
日本とイギリスという物理的距離がある中で、空間を超えることができるインターネットのすごさを肌身で感じた感動は今もはっきり覚えています。
世界のどこにいても、インターネットでつながっていればメールでやりとりするなどコミュニケーションを取ることができる。「2ちゃんねる」はじめ掲示板ができたころで、いろんな情報が集まってもいました。
インターネットを介すれば、情報をこういうふうにスムーズに受け取れるようになるのかと、情報の集まり方やその進化に興味は増すばかりでした。
高校生のときも大学に進学しても、ずっとコンピューター好き。寮生活を出て一人暮らしを始めたときは友人とシェアハウスをしながら、自分のデスクトップPCとノートPC両方を相当ハイスペックなパソコンにカスタマイズして、自分でサーバーを立てて、ホームページをつくるようなことをしていました。

「学びへの姿勢が甘くないか?」

インターネットについては趣味の延長で知識を深めていた一方で、大学そのものの存在や、学ぶことの意味を考えていたことは全くありませんでした。
「学び」への意識が高いとはいえず、遊びに夢中で授業の出席も少なくなるなか、あるイギリスの友人の言葉が意識を変えてくれました。大学2年になったばかりのころ、厳しく言われました。
「サトシ、何のために大学に来てるんだ?」
「お前は俺たちイギリス人より高い学費を払っているのに、勉強への姿勢が甘くないか?」
助言してくれた彼は、親からは大学に進学せずに働けと言われながらも、自分の意志で学費を稼いで通学していました。
「1分1秒も惜しいから勉強してるんだ」と言われ、頭から水をかけられたような気分でした。
「大学ぐらい出たほうがいいんじゃないか」「大学に行くのは当たり前」と何の考えももっていない自分が、急に恥ずかしくなったのを覚えています。