【混迷】合意なきEU離脱を扇動する「英国のラスプーチン」の素顔

2019/9/16

ジョンソンの影にこの男あり

先週のイギリス議会は大混乱だったが、ボリス・ジョンソン首相の手荒い政治手法を大いに楽しんだ人物が少なくとも一人はいたようだ。
新内閣で首相上級顧問に就任したドミニク・カミングスは、いつものしわだらけの白いシャツ姿で、電話の向こうにいる議員に悪態をついたり、国会議事堂の廊下をうろついたり、合意なきEU離脱を阻止しようとした保守派政治家の政治生命を奪おうと試みたりしていた。
野党に暴言を吐くことも忘れてはいない。議事堂で夜半に野党労働党のジェレミー・コービン党首を見かけたカミングスは、ジョンソンが提出した解散総選挙の実施を支持するよう迫った。「怖気づくなよ!」カミングスは叫んだ。
ジョンソン首相就任から数週間、謎に満ちたカミングスは、ロシアの帝政末期に皇帝の信任を得て権力を振るった怪僧ラスプーチンに例えられていた。
EUとの合意があろうとなかろうと、「何が何でも」10月31日までにブレグジットを果たそうとするジョンソンの強硬な作戦の指揮を執っているからだ。
英首相上級顧問のドミニク・カミングス(Peter Summers/Getty Images)

天才か悪の権化か