【新】旅行ブームを牽引するAirbnb、創業者の飽くなき挑戦
2019/10/13
2007年にサンフランシスコで国際デザイン会議が開かれたとき、美術大学出身の工業デザイナー、ブライアン・チェスキーとジョー・ゲビアは、自宅アパートのロフト部分にエアマットを敷き、無料の朝食付きで貸し出すことを思いついた。
1泊80ドルという、サンフランシスコとしては超お手頃な宿泊料金を設定したところ、たちまち会議出席者から予約が殺到。おかげでチェスキーとゲビアは、ピンチだった家賃の支払いも無事できるようになった。こうしてAirbnbが誕生した。
やがて部屋（あるいはベッド）だけを貸すよりも、アパートや家全体を貸すスタイルが主流となり、Airbnbは世界的な旅行ブームの牽引役を果たしてきた。だが、創業当初は出資者が見つからず、クレジットカードを何枚も作って借金をしまくっていたというチェスキー。そんな彼が尊敬する意外な人物や資金調達のコツをリード・ホフマンが聞いた（インタビューが行われたのは17年1月）。
1泊80ドルという、サンフランシスコとしては超お手頃な宿泊料金を設定したところ、たちまち会議出席者から予約が殺到。おかげでチェスキーとゲビアは、ピンチだった家賃の支払いも無事できるようになった。こうしてAirbnbが誕生した。
やがて部屋（あるいはベッド）だけを貸すよりも、アパートや家全体を貸すスタイルが主流となり、Airbnbは世界的な旅行ブームの牽引役を果たしてきた。だが、創業当初は出資者が見つからず、クレジットカードを何枚も作って借金をしまくっていたというチェスキー。そんな彼が尊敬する意外な人物や資金調達のコツをリード・ホフマンが聞いた（インタビューが行われたのは17年1月）。
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リード・ホフマン 今日はAirbnbのブライアン・チェスキーをお迎えしています。
ブライアン・チェスキー こんにちは。
ホフマン 子どもの頃、町や都市の写真を見て描いていたそうですね。
チェスキー あらゆる場所を自分でデザインし直すことに取りつかれていました。
ディズニーにも夢中で、ウォルト・ディズニー・カンパニーの株主になれば、「年次報告書」という最高にクールな本をもらえることを知りました。ディズニーの年次報告書には、建設予定のテーマパークの完成予想図が含まれていたのです。
それで父親に懇願してディズニーの株を買ってもらい、めでたく年次報告書を手に入れました。
私はすっかり夢中になり、自分なりにテーマパークをデザインするようになりました。
ホフマン ウォルト・ディズニーをとても尊敬しているとか。
チェスキー ウォルトは自分のアイデアを実現するために、全財産を投げ打ったことが何度もある。いつも破産の危機に瀕していたし、成功するとは到底思われていませんでした。
私も危機に陥ったときは、「これは必ずしも危機ではない。もっと大きな意味があるものだ」と思うようにしています。「失敗する恐れがあっても、大きな賭けをする気があるか」と。
ホフマン 資金調達について教えてください。Airbnbの現在のグローバルな成功を考えたら、資金調達は簡単だったに違いないとみんな思うでしょう。
チェスキー いえいえ、悪夢のような経験でした。
アプローチした7人のうち5人は、「旅行市場がさほど大きいとは思えない」という後ろ向きの返事でした。
3人の共同創業者のうち2人がデザイナーであることに難色を示す投資家もいました。有望なスタートアップの創業者は、スタンフォードやハーバードの博士号取得者というのが典型的でしたからね。
VCからも投資は得られませんでした。
私たちは完全に破綻していました。クレジットカードの借金が数万ドル。「これからどうする？」という絶望的な気分でした。
ホフマン Airbnbの始まりは有名ですが、特に注目すべきは、その意外なスケーリングの手法だと思います。
チェスキー 「スケールしないことをやれ」というものですね。これは起業家として学んだ最も重要な教訓だと思います。
ある旅行が2時間映画だとすると、家にいる時間は20分くらいしかないことです。空港に行く、あちこち見物する、食事に行く、友達と遊びに行く……。旅の大部分は家の中で起きていない。
そこで宿泊場所を提供するだけでなく、旅の最初から最後までをカバーするエクスペリエンスを提供する必要があることに気づきました。
ホフマン 会社をスケールする上ではカルチャーも大事です。
チェスキー 会社を作ったとき、人々に愛されるプロダクトを作るだけでなく、働くのが楽しい会社にしたいと思いました。
カルチャーとは、非常に賢い人たちを雇い、彼らにエンパワーすると同時に、彼らが常に正しい方向を向いているようにするための手段でもあります。
チェスキー 重要なポイントは2つ。まず、チャレンジは日々大きくなるから、それよりも一歩先に賢くなること。
ホフマン 永遠に学び続ける起業家の模範ですね。あなたが一番誇りに思う成果とはなんですか？
チェスキー ちょっと意外に思われるかもしれないことです──。
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第1話を公開します。
（予告編構成：上田真緒、本編翻訳・構成：藤原朝子、バナー写真：ロイター/アフロ、デザイン：早山 悟）
イノベーターズ・ライフ
ブライアン・チェスキーの半生
