【再掲】今こそ読みたい、ZOZO前澤友作の「人生論」

2019/9/16
9月12日、ソフトバンク傘下のヤフーが、ファッションEC大手ZOZOの買収を発表した。驚いたのは、ZOZO創業者の前澤友作CEOがトップを辞任したことだ。彼が唯一、人生論と哲学について語っていたNewsPicksの単独インタビュー連載の予告編を再編集して掲載する(2016年7月公開)。
18年間増収増益
創業以来18年増収増益。ECサイトの成長に必須のこと
創業から今日までの18年、スタートトゥデイはずっと増収増益を続けています。2007年にスタートトゥデイが株式上場。2008年には「ZOZOTOWN」の会員は100万人を突破していました。
一方、僕自身が経営者として順調に成長していたかというと、そうではありませんでした。
会社経営の覚悟と責任が芽生えた
社員に辞められて芽生えた、会社経営の覚悟と責任
そんな調子ですから、社員は僕に愛想を尽かし始めます。
この時ばかりはさすがに落ち込み、会社というものについて真剣に思いをめぐらせました。
結局のところ、何もわからないまま社長になった僕だけに、これまでは体験的に学んだことばかり。社員の雇用から手続き関係まで、すべて自分でやって、そこから得た教訓で今日に至っています。
そんな僕が、就業規則など社内環境の整備に取りかかり始めたことは、経営者としての覚悟が芽生えた瞬間でもあったのかもしれません。
門前払いにめげず出店交渉
門前払いにめげず、架空の街「ZOZOTOWN」に出店交渉
僕自身、時には門前払いされながらも、多くの企業をまわりました。
アポなしの飛び込み営業を試みたことも多く、最初からネット上のショッピングモールだと言うと話すら聞いてもらえないため、「千葉でセレクトショップをやっている者です」とリアルショップを装い、営業することで話を聞いてもらったこともありました。
最初はむげに追い返されてしまっても、何度となく足を運び、心を開いてもらうまで粘る。
やはり人対人ですから、足繁く通っているうちに「じゃあ、ちょっとだけ話を聞いてやるよ」と言っていただけることが多くありました。
上場のメリットとワクワク
スタートトゥデイ上場で感じたワクワクとメリット
上場していない会社の先輩社長さんからは、「経費も好きに使えなくなるし、よくわかんない金融の人も入ってくるし、いろんな制度ができて面倒になるし、上場なんていいことないよ。なにより前澤君には絶対合ってない」とよく言われていました。
けれども当時の僕にとっては、経費とか制度なんてものは小さいものにしか思えませんでした。
会社の管理部門が強化されてビシッとなるのも喜ばしい。
そう思うと、上場していくことにメリットしか感じませんでしたし、会社や体制がどんどん引き締まっていくことにもワクワクしていました。
サラリーマンにはなりたくない
満員電車で通学「サラリーマンにはなりたくない」
僕が進学したのは早稲田実業学校です。千葉の鎌ヶ谷から新宿区の学校まで、90分ほどかけて通学していました。
満員電車の中で見かける大人たちは皆、ストレスにまみれた顔をしながら黙って満員電車に耐えていました。
これから一生懸命勉強した先に待っているのが、こういうラッシュに埋もれる生活なのかと思うと、「自分はこうなりたくない」という気持ちが強くなるばかりでした──。
夢は「世界平和」
お金とは何か? 資本市場のど真ん中で大暴れしてやる
2001年9月11日のニューヨークでの事件をきっかけに、夢を「世界平和」と決めた僕は、もちろん今一番力を入れて熱中している会社経営やビジネスも、その夢の実現のためにフルで活用していくべきだと思い、今までぼんやりとしていた会社の存在意義、つまり企業理念を次のように明文化しました。
「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」です。
なぜ会社をやってるの? 人生の意義は? 夢は? と聞かれれば、臆することなく、はばかることなく「世界平和」のため、と言えるようになりました。
競争が起きない環境作り
競争より協調。基本給・ボーナスは全社員同額
小学生の頃から競争が嫌いだった僕は、会社経営や人事制度の面においても、なるべく競争が起きない環境作りを目指しました。
当社の社員の基本給は一律で同額です。また賞与(ボーナス)についても、全社員同額です。
その結果、何が起きると思いますか。
ノルマや成果報酬の恩恵を最優先し、我先にと営業成績を上げようと躍起になり、同じクライアントを隣の席の同僚と奪い合うような醜い争いは絶対に起きません。
むしろ、自分の成績を上げることより、失敗したり、いまいち調子の出ない同僚や仲間に気を配れるようになります。
会社や上司から与えられた競争をするのではなく、自分の得意なことが最も生かせる部門や作業が何なのかを真剣に考えるようになります。サボるような人も出てきません。
6時間労働制を始めて
6時間労働制を導入した理由
6時間労働を始めてからというもの、面白い取り組みだと、様々なメディアで何度も紹介はされるものの、他社でそれを実践してみたという話はほとんど聞きません。
それよりむしろ「儲かっているからできるんだ」とか「若いうちは残業してでも働いた方がいい」とか、想定通りの声ばかりが聞こえてきます。
そのたびに、僕は心の中で「そんな常識にとらわれているから儲からないんだ。うちは儲かっているからできるのではなく、こういうチャレンジができる会社だから儲かるんだ」とこっそりつぶやくのでした。
ひとつだけ後悔していること
ひとつだけ後悔していること。「抽選採用」の構想へ
18年間の会社経営の中で、ひとつだけとても後悔していることがあります。
僕の意思で、ある社員を解雇したことです。13年前の話です。
困っている人や弱っている人を見捨てるのではなく、積極的に助けて救っていく。居場所のない人や、生きがいが見つからない人に、積極的に場所とチャンスを提供する。
そういったことができるのが会社であり、そういう会社の集合体が、支え合い励まし合う社会につながっていくのではないかと思うのです。
社会から排除されたと感じた若者が、恨みや疎外感を理由に凶悪な犯罪を起こすケースが後をたちません。
僕は会社を通して「どんな人でも活躍できて、どんな人でも楽しんで働ける社会の創造」を目指しています。
お金が減らない状況を作り出せる
お金はうまく使うと増える。バスキア絵画62億円で落札
これは僕の持論ですが、お金はうまく使えば使うほど、またそれ以上に入ってきます。つまり、お金をうまく使える人は、お金が減らない状況を作り出せます。
お金で何かモノを買ったり、体験を買ったりした瞬間は、お金は当然減ります。
ただし、買ったモノや体験は、あなたの財産となり残ります。その財産をどう生かすかによって、お金が増えることがあるのです。
宇宙に挑戦したい
社内ベーシックインカム、PB、宇宙に挑戦したい
個人的には宇宙に非常に興味を持っています。
NASA関連施設の見学や、宇宙飛行士をはじめ宇宙関係者の皆さまとの面会など、着々と勉強を進めています。
プライベートブランドも宇宙についても、自分自身や社会の常識を覆すカタチで、世の中に発信できるよう精進してまいります──。
(構成:上田真緒、撮影:遠藤素子)
*本記事は2016年7月に公開したNewsPicksオリジナル連載を再編集して掲載しています。