(ブルームバーグ): ソフトバンクグループにとって今週は、悪いことばかりだった。投資家と米カリフォルニア州議会が、同社の出資先の中でも最も有望なスタートアップ2社の輝きを曇らせた。

まず、シェアオフィス事業を展開する米ウィーワークの親会社ウィー・カンパニーが計画する新規株式公開(IPO)に対する投資家の反応が悪く、ソフトバンクはIPO棚上げをウィーワークに促す羽目になった。ウィーワークが同意していれば、ソフトバンクの最大の投資先の一つである同社は重要な資金源を失うところだ。次に、カリフォルニア州議会が単発の仕事を受注するギグワーカーと呼ばれる個人請負業者に関する雇用法案を可決。ギグワーカーを利用する企業の人件費を上昇させ、ビジネスモデルの大幅転換を強いる内容だった。

ソフトバンクは100億ドル(約1兆1000億円)以上をウィーワークに投資しており、ギグエコノミー企業に対する主要な資金の出し手でもある。配車サービスのウーバー・テクノロジーズの筆頭株主であり、アプリを利用した食事宅配サービスを手掛けるスタートアップ企業ドアダッシュや犬の散歩代行アプリのワグにも大きく出資している。これらはいずれもギグエコノミー企業。

今週の出来事はソフトバンクグループとウーバーの株価に大きく響いてはいないが、影響は今後数カ月または数年をかけて出てくるだろう。 ウィーワークはコーポレートガバナンスの見直しでIPOを軌道に戻すなど次の一手を模索しなければならない。ウーバーとドアダッシュはカリフォルニア州議会と闘うために協力している。

ソフトバンクと同社のビジョン・ファンドは、ギグエコノミーに大きく賭けている。昨年はドアダッシュの5億3500万ドルの資金調達を主導し、ワグに3億ドルを投資した。ウーバーは、カリフォルニア州の雇用法により年間5億ドルを超える追加コストが発生するとアナリストらは試算。他の州が追随すればコストはどんどん膨らむだろう。

ソフトバンクは今月末に終了する四半期におけるビジョン・ファンドの評価額を投資家に報告する際に、これら全てを考慮しなければならない。6月終了の前四半期にはファンドの評価額を引き上げ822億ドルとしていた。今回は評価額引き上げは難しいかもしれない。

ソフトバンクがウィーワークにコミットした107億ドルのうち、約40億ドルがビジョン・ファンドからだ。ウィーワークの財務アドバイザーらはウィーワークの価値を、2017年にビジョン・ファンドが投資した時とほぼ同水準、今年1月にソフトバンクが投資した際に比べほぼ半分と評価している。ソフトバンクが約13%を保有するウーバーの株価は6月末から27%下落。

ウィーワークのIPOとギグエコノミー関連法は、ソフトバンクにとって2つの不確実要素だ。ソフトバンクはビジョン・ファンド2号の計画をこの夏に発表しており、投資家に安定をアピールする必要がある。ファンドの目標額は1080億ドルで、ソフトバンクおよび従業員からの出資分に加えて外部から500億ドルを集める必要がある。そのためソフトバンクは、自らを頼りになる投資家だと、外部の出資者候補に信頼させなければならない。

原題:Top SoftBank Investments Slammed From Wall Street to California(抜粋)

--取材協力:Sarah McBride.

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