(ブルームバーグ): トランプ米政権の当局者らは、中国に限定的な貿易合意案を提示することを協議している。知的財産や農産物購入に関する中国の約束を取り付ける代わりに、一部関税の発動を延期、あるいは撤回する内容だという。事情に詳しい関係者5人が明らかにした。

関係者によれば、トランプ大統領に貿易政策を助言する上級顧問の一部は、過去数日間にこの計画を話し合った。今後数週間内にワシントンで2回のラウンドで予定されている中国当局者との対面交渉に向けた準備だという。

こうした話し合いは予備的なもので、トランプ大統領はまだ承認していない。大統領は12日、記者団から限定的な合意の可能性について問われたのに対し、暫定的な貿易合意にオープンな姿勢だが、持続的な合意の方が望ましいと答えた。

トランプ大統領は「多くの人々が話題にし、アナリストの多くが口にしているのは暫定的な合意だ。まず簡単なものから部分的に取り組むというわけだ」とした上で、「容易もしくは困難という区分はない。取引があるかないかだ。しかし、われわれが検討する事柄ではある」と話した。 

今回の提案は世界経済に影を落としている貿易戦争に最終的な解決をもたらすのではなく、むしろ貿易摩擦を現状のまま凍結するものとなる。報道を受けて、米国株やアジア株の先物は上昇した。

こうした動きは、米中の関税合戦がこのところエスカレートし、来年の米大統領選に向けて米経済に影響を及ぼす事態を巡り、ホワイトハウス内で懸念が広がっている様子を反映している。多くの有権者が貿易戦争を支持しておらず、農家は商品相場の下落に不満を強めていることが世論調査で示されている。

スマートフォンや玩具、ノートパソコンなどの消費財を対象に12月の発動を計画している対中関税を回避できるような合意を取りまとめるのが主な目標の1つだ。さらに、10月に計画している追加関税率の引き上げをさらに延期することも検討の対象。

一方、米国は中国との暫定的な貿易合意案を検討していないと、CNBCはホワイトハウス高官の発言として報じた。

直接交渉

中国国営新華社通信が12日、劉鶴副首相を引用して伝えたところでは、米中の実務者レベルの会合が来週開かれる。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官は劉副首相と10月前半に協議する予定。

協議を前に米中間に善意の兆候も浮上している。中国政府は大豆や豚肉などの米国産農産物の輸入再開を認めることを検討中だとブルームバーグ・ニュースは報じた。トランプ大統領は12日、「中国が米国の農産物を大量に買うよう期待する!」とツイートした。

USTRに複数回コメントを求めたが、返答はない。財務省もコメント要請に答えていない。

原題:Trump Advisers Consider Interim China Deal to Delay Tariffs (2)(抜粋)White House Not Considering An Interim China Trade Deal: CNBC

(トランプ大統領の発言を追加して更新します.)

--取材協力:Jordan Fabian、Saleha Mohsin、Jennifer Jacobs.

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