[11日 ロイター] - 米石油大手などの企業買収で名を馳せ、1980年代に日本の小糸製作所に買収を仕掛けたことでも知られる米著名投資家のブーン・ピケンズ氏が11日に死去した。91歳。

オクラホマ州生まれのピケンズ氏は大学卒業後に石油会社に入り、約3年後に独立。2500ドルを借り入れ、投資家二人とともに石油・ガス会社を創業した。テキサス州歴史協会の資料によると、メサ・ペトロリアムと呼ばれるこの会社は一時期、独立系石油会社として世界最大手の一角にまで上りつめた。

1980年代には相次いで米石油大手の買収を仕掛け、世間の不評を買った。大型案件は全て失敗に終わったが、その過程で巨額の富を築いた。

80年代後半には自動車部品メーカーの小糸製作所の買収に乗り出し、株式の20.2%を買い占め、トヨタ自動車を保有率で約1%上回る筆頭株主となった。日本ではまだ馴染みがなかった企業の「乗っ取り」を巡り、小糸の経営陣や株主と約2年間攻防を繰り広げたが、その後、同社株を手放した。

ピケンズ氏はエネルギー会社やヘッジファンドの経営だけでなく、晩年には風力発電にも注力した。今から約1年半前にエネルギー業界に特化したヘッジファンドBPキャピタルを閉鎖した際、ピケンズ氏は自身のサイトに「石油取引は私にとって、かつてのように魅力的なものではなくなった」とし、「健康面と財務面の両方でこの1年は良いものではなかった」と記していた。

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