[ブリュッセル 11日 ロイター] - イタリアのコンテ首相は11日、訪問先のブリュッセルでフォンデアライエン次期欧州委員長と会談し、イタリアがより長い時間をかけて債務削減に取り組めるよう要請した。

イタリアでは10日、上院が下院に続き「五つ星運動」と「民主党」で構成される新政権を承認。 コンテ首相は新政権発足後初めてブリュッセルを訪れ、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委に対し、EUの財政規律の柔軟な運用のほか、移民・難民に関する規則の変更を改めて要請した。

コンテ首相は記者団に対し「われわれは債務削減を目標に掲げているが、経済を成長させ、投資を促進しながら削減していきたい」とし、財政目標達成には「時間が必要だ」と訴えた。

このほか、イタリア政府が長期的な視野で改革を実行できるよう、EUとの協定を求めていることも明らかにした。これにはEU財政規律のより柔軟な解釈が必要になる可能性がある。

イタリアの財政赤字目標の対国内総生産(GDP)比率については、新政権が同比率を2.3%前後に引き上げる意向であることが関係筋の話で明らかになっている。前政権がEUと合意した19年の財政赤字の対GDP比率は2.04%。現時点で20年の目標は2.1%となっている。

イタリア政府は10月中旬までにEUに対し20年予算を示す必要があるが、コンテ首相は同年の債務や赤字の目標については何も明示しなかった。

コンテ氏とフォンデアライエン氏の会談について、EU当局者は「イタリアの新たな政治情勢が議題に上がった。移民・難民問題や経済についても取り上げられたが、具体的な結論は出ていない」と述べた。