WeWork、200億ドル未満への評価額引き下げを検討
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過剰流動性、イノベーションブームによる一部ユニコーンのハイパーインフレと、それに対するより戻しを象徴するIPOとなる可能性が日増しに高まってきた。
が、そうしたマクロ観とは別に、この会社、この経営者、そしてここの投資家の個別要因も大きい。
第一に、そもそもIPOではエクイティのみならず同額レベルのデット調達を予定している。エクイティのみの調達とは算数が異なるので単純ではない。
第二に、ソフトバンクの出資もまた、デットを大いに織り交ぜており、インド人元ベテランバンカー、ラジーブミスラ率いるSVAが複雑なスキーム、コベナンツ、カラー取引などを駆使しているはずである。単純にダウンラウンドだなんだと外部からは計算できない。この人たちだけ得するスキームに、仮になっていたとしても驚きは無い。
第三に、くせものはJPモルガン。
GSとならぶ主幹事だが、目論見書のCapテーブル大株主に名前が乗っている。つまり値付けを行う人が沢山株を持っている。
元来私はこのコンフリクトは問題だと思っており、例えばFacebookのIPOではGSがラストラウンドで大きく出資し、その後すっ高値のIPO値付けをして、直後に半値くらいに下げた、つまり一般株主にババ抜きをさせた。今回も同じ鉄を踏まないか。資本市場関係者はこの点議論するべきだと思う。もともとそう見る向きもあったところ、IPO開示書類でのうさんくさい記述でマーケットが完全に”単なる不動産屋”(不動産業も立派なビジネスだと思いますが)と見てしまい評価引き下げに歯止めがかからない状況。
いまここで無理にIPOデビューする事情がわかりません。さすがに投資家は怒るでしょうに。実際にWeWorkのオフィスで仕事をしていた感覚からすると、元々のバリエーションが不思議ではありました。WeWorkはグローバルで統一感を出すために、什器が決まっていたり、壁に物を貼り付けるのに制約があったりと、値段の割に自由度が低いのも気になっていました。
最近は、良い立地でオシャレで開放的な空間というWeWorkと同じようなシェアオフィスサービスがより安価に出てきていますから、WeWorkを選ぶ理由は、ブランド力とコミュニティにその価値を感じるかどうかだと思います。
スタートアップや個人でお仕事されている方であれば、WeWorkのコミュニティの価値は高いのかもしれませんが、日本のWeWorkは大企業が多く入居しており、キッチン等で盛り上がって意思決定して何かが生み出されるというサイクルが機能しやすい環境ではないと思います。
かといって、スタートアップや個人の方であの賃料を気軽に払える会社というのもそう多くないのではないでしょうか?