中国、「時宜得た」預金準備率引き下げを表明 穏健な金融政策維持
Reuters
2019/09/05
[北京 4日 ロイター] - 中国国務院(内閣に相当)は4日の閣議で、銀行の預金準備率(RRR)を「時宜を得た方法」で引き下げていく意向を示した。
国務院は、引き下げは全般的、および的を絞った手法の双方で実施されると表明。中国人民銀行(中央銀行)が近く引き下げに踏み切る可能性がある。
政府のウェブサイトに掲載された声明によると、国務院は「外部環境は一段と複雑かつ厳しくなりつつあり、経済への下押し圧力が拡大している」と指摘した。
その上で「預金準備率の全般的、および的を絞った手法の双方での引き下げを、金融機関により多くの資金を包括的な金融に振り向けるよう誘導する手段として適時に利用する」と表明した。
人民銀が前回、すべての銀行に適用される広範な預金準備率の引下げを決定したのは1月。100ベーシスポイント(bp)の引き下げを2段階に分けて実施し、総額1160億ドルの資金供給につながった。
民生銀行のエコノミスト、ウェン・ビン氏は「預金準備率には引き下げ余地があり、そうすることが必要だ」と述べ、「中国の投資と消費は下押し圧力にさらされている。実体経済を下支えするためすべての銀行を対象とした引き下げが必要だ」との見方を示した。
人民銀は2018年初頭以来、合計6回、預金準備率を引き下げた。米中貿易戦争が激化する中、アナリストの間では人民銀が年内に一段の引き下げを実施するとの見方が出ている。
中国中央テレビ(CCTV)によると、国務院はこのほか、経済が「妥当なレンジ」で成長することを確実にする必要があると強調。穏健な金融政策を維持すると同時に、先手を打って政策を微調整していく姿勢も示した。
国務院はさらに、地方政府による来年の特別目的債発行を通常より早い時期に認める方針も明らかにし、各省発行の特別目的債のうち約2割をプロジェクト資本に充てることを可能にするとした。具体的な比率を示したのは初めて。
国務院は、特別目的債で調達した資金は鉄道や送電網、ガスパイプラインなど大規模なインフラおよびエネルギープロジェクトや社会事業に活用できるが、不動産関連プロジェクトへの活用は認められないとした。
特別債の発行枠はこれまで3月に設定されてきたが、経済誌「財新」は4日、前倒しになれば地方政府は早ければ1月にも債券を発行できる可能性があると報じた。
*内容およびカテゴリーを追加しました。
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