【真相】楽天のキャリア参入を遅らせた、基地局整備の「誤算」

2019/9/7
楽天傘下の楽天モバイルは10月1日、「第4の通信キャリア」としての携帯電話向け通信サービスを限定的ながらスタートする。
9月6日、記者会見に挑んだ楽天の三木谷浩史会長兼社長は、9月5日夜に各メディアが報じた「携帯本格参入を2020年春に半年延期」というニュースを事実上否定し、会見では「延期」という言葉を一度も使わなかった。
そして、三木谷会長兼社長は「世界初のフルクラウドサービスを10月からスタートする」と宣言。「ネットワークをより安く、より高速に、4Gでも5Gレベルのスピードを実現する」と、終始強気の姿勢を貫いた。
ただ、5000人に限定した無料サービスは、「10月スタート」を守るための苦肉の策にも見える。
今後、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が牛耳る現在のモバイル通信業界において、楽天はゼロから通信ネットワークを構築しなければならない。しかも、すでに都心などのビル屋上は「キャリア3社の基地局が占領していて場所がない」(基地局業界関係者)と言われる。
楽天モバイルのブランドカラーはマゼンタ(撮影:谷口 健)
その中で、楽天は後発の優位性を生かし、「世界初のエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワーク」と称する、最新型のネットワークをゼロから作り始めている。
三木谷氏自身、この一大プロジェクトをNASAの月面着陸計画に例えて「携帯業界におけるアポロ計画」と表現しているように、その実現は簡単な道のりではない。

最大の問題は「置局交渉」

最大のポイントは、基地局の整備である。