会計監査の「意見」、理由を明確に 金融庁が基準改定 相次ぐ不正で
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注目のコメント
ちょっと記事の内容が不十分にも読めるので、勝手に補足させていただきます。そもそも、限定付適正意見の理由を記載することは従前から要求されていましたが、記載の深度について明確化されたという改正です。
まず、前提知識として、監査意見の中で一番良いのが「無限定適正意見」になりますが、そうではない場合には2通りの類型があります。1つが「意見に関する除外」という類型で、これは財務諸表の一部が間違ってますよ、という意味です。2つ目が「監査範囲の制約」で、これは財務諸表を確かめようにも調べきれない部分があったのであっているか間違っているか分かりません、という意味です。
そして、間違っている部分、もしくは、確かめられなかった部分の影響が財務諸表に対して重要である場合には、無限定適正意見ではなく、「限定付適正意見」となります。
また、間違っている部分が重要かつ"広範"な影響を与える場合には「不適正意見」、確かめられなかった部分が重要かつ"広範"な影響を与える場合には「意見不表明」となります。
そして、限定付適正意見、不適正意見、意見不表明のどの場合であっても、なぜその意見となったか、ということは必ず監査報告書に記載されます。問題の契機となった東芝の監査報告書にもあります。
今回の基準改正で論点となっているのは、限定付適正意見を表明した場合に、なぜそれが不適正意見又は意見不表明ではなく、限定付適正意見なのか、すなわち「重要性はあるが広範性はない」と判断した理由を記載するように、明確化されたものとなります。
元々は記載することが想定はされていたものの、記載が明確ではない監査報告書があったことから今回の改正に至ったと理解しています。
なお、広範性の概念は少し難しいと思っていて、影響が財務諸表の特定の項目などに限定されない場合のほか、項目は限定されるけど財務諸表全体としての虚偽表示にあたる場合や、注記の影響が利用者の理解に不可欠である場合とされており、かなり監査人の判断の領域になります。理由を明記するように改正とありますが、
元々のルールでも、理由を書くように要請されています。
会計士みんな大好きな東芝の監査報告書を見て頂ければ分かりますが、
理由を明記してあります。
監査報告書は、会計監査人が外部に向けて意見を言える数少ない機会です。
それ以外は、守秘義務の関係で言いたくても言えないことが
たくさんあります。たくさん。
東芝の時に問題になったのは、監査報告書以外の場面で
コメントを求められても、だんまりだった事だと感じてます。
監査法人からすれば責任の拡大で嫌かもしれませんが、
監査報告書の内容についての外部対応について、
「詳細はARで。以上!」じゃなく、もっと広域にコメントできるよう
守秘義務の解除範囲を広げてほしいように感じます。
特に、限定付意見や意見不表明、不適正意見を表明した時。
それが社会的要請に応えることになるように思われます。
なお、会計士みんな大好き会計ニュースコレクターでの
紹介記事はこちら。ここでも、「改正は無意味」ってなってます。
https://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/14253.html
なんとなしに、社会的要請に金融庁が「対応したよ!」という
実績作りのために、このリリースがあるように思われて仕方ないです。