[ロンドン 3日 ロイター] - 夏季休会を終えて3日に再開した英議会で、欧州連合(EU)からの「合意なき」離脱を巡る攻防が激化した。ジョンソン首相は、議会が合意なき離脱を阻止すれば、10月14日に総選挙に踏み切るとけん制。一方、野党・労働党と与党・保守党の造反議員らは、合意なき離脱阻止に向け、10月末のEU離脱期日を延期する法案の可決を目指す。

バーコウ下院議長は、3日夜に緊急審議を行う提案を承認。審議で議事進行を支配するための動議が可決されれば、議員らは4日にも離脱期日を来年1月31日まで3カ月遅らせる法案の採決を実施し、可決に持ち込みたい考え。

労働党のコービン党首は、ジョンソン首相による「英国の未来に対する危険な賭け」を阻止すると言明した。

ジョンソン首相はこの日、離脱期日延期をEUに要請することは「白旗を掲げるに等しい」と議会で述べ、延期の可能性を排除した。

ジョンソン氏の議会での演説開始と同時に、同氏率いる保守党のフィリップ・リー議員は離党し、親欧州連合(EU)派の自由民主党に移籍した。これを受け、与党は議会下院の過半数を失った。

合意なき離脱の可能性に反応し、ポンド/ドル<GBP=D3>は一時小幅安の1.1959ドルと、2016年10月以来の安値を付けた。しかし、その後は切り返し、0.22%上昇した。

こうした中、欧州委員会は合意なき離脱の可能性は極めて高いとのコメントを表明。フランスのルドリアン外相も、最も起こり得るシナリオと述べた。

ゴールドマン・サックスも合意なき離脱の確率を20%から25%に引き上げた。

国連貿易開発会議(UNCTAD)は、英国が合意なしに欧州連合(EU)を離脱することになれば、EU域内への輸出販売が少なくとも160億ドル失われるとの試算を発表した。

ペンス米副大統領は訪問先のアイルランドで、EUが「誠意を持って」ジョンソン英首相との交渉に臨み、英国の主権を尊重する離脱協定で合意するよう促した。