【新】ニューリテールとは何か。中国人専門家が基礎から解説

2019/9/3
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。
今回登場するのは、中国のITビジネスコンサルタントで、著書『新・小売革命』(中信出版日本)が話題の劉潤(リュウ・ルン)氏だ。
中国の小売業界は、eコマース(電子商取引)に飲み込まれつつあるように見える。その動きをけん引するのが、中国のEC最大手のアリババだ。
2018年11月11日、「独身の日」に開催されたアリババのネットセールの流通総額は2135億元(3.4兆円)に上り、同社の記録を塗り替えた。
しかし、アリババの創業者ジャック・マーが提唱し始めた「ニューリテール」の要諦はeコマースではないと劉氏は指摘する。
では一体、ニューリテールとは何なのか。
ニューリテールの実例、アリババやジンドン、シャオミといった中国eコマースの巨人たちがなぜニューリテールに行き着いたのかなどのエピソードから、中国におけるニューリテールの実像を解き明かす。
劉 潤(リュウ・ルン)氏/コンサルティング会社「潤米咨詢」代表。中国の教養アプリ「得到(デァダオ)」内のビジネスコンテンツで40万以上(2019年8月現在)のユーザー数を抱える人気ITビジネスコンサルタント。前マイクロソフト戦略協力ディレクターで、現在、ハイアール、バイドゥ、恒基(不動産デベロッパー)、中遠(海運会社)など多くの大手企業で戦略顧問を務める。

小売は人と物をつなぐ「場所」

──そもそも小売業とは本質的にどんなビジネスなのでしょうか。