ポストLIBOR 世界に迫る異変
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LIBOR不正事件以降、あまり採り上げられていないと思いますが、実は早期対応が求められると思います。
簡単にいうと今までは複数の銀行の言い値で融資の金利のベースとなるLIBORとういう指標が決められていたものの、銀行が不正を働いた為、客観的で且つ各銀行の信用力からもニュートラルなリスクフリーレートを使おうという動きになっています。
但し、リスクフリーレートに関する合意に加えて顧客交渉やシステム対応など時間を要する事項が多いと思います。
問題は、既存の融資契約の金利はLIBOR/TIBOR(ロンドンや東京のマーケットで複数の銀行が提示することで決められる金利)、各銀行の独自レート(〇〇銀行LIBOR等)があり、またそれらの金利変動リスクをヘッジするデリバティブ取引(金利を固定する取引など)が存在しています。
融資以外の商業契約の支払い遅延の際の遅延金の算出にもこれらの金利が使われていることもあります。
また、今回は各銀行の信用リスクからも遮断することが求められていますが、リスクフリーレートと出来上がりの差である信用リスク部分があぶり出されると顧客との交渉も難航するかもしれません(特に信用力が低い銀行の場合)事の重大さの割に報じられていないことの典型が、このlibor廃止問題。4京円という金融取引の基準金利をあと2年で全て取り換える大作業なのですが、まだあまり進んでいません。記事では米新金利取引が「3兆円に拡大した」としていますが、全体に比べれば微々たるものです。
しかも、欧州はESTER、米国はSOFRなど世界中で使う基準もその算出方法も微妙に異なります。FRB等当局が焦るのも無理はありません。これから加速しないと、金融市場の意外な撹乱要因になるかもしれません。LIBOR廃止の議論は難しいです。
リスク・フリー・レートという言葉も出てくるのですが、これは信用リスクがない金利という意味。
LIBORはもともと、銀行間の取引レートだったので、信用リスク分の金利が上乗せされていると見ることができますので、原理原則にたち戻ろうとしているということでしょうか。
貸出しに使うレートは、その基準金利に信用リスクが含まれていても問題はないですが、デリバティブに使う金利は、本来は信用リスクが加味されないRFRが欲しいということは理解できます。
とはいえ、なかなかとれを特定するのが難しいですね…。