【暗躍】ビジネスSNSを「フル活用」する中国諜報機関の手口

2019/9/2

リンクトインは「最高の狩場」

オバマ政権で外交政策を担当していた元政府高官は、世界最大のビジネス向けソーシャルメディア「リンクトイン」経由で、メッセージを受け取った。中国に行けば「高給が支払われる」チャンスを提供するというものだ。
デンマーク外務省の元職員のもとには、中国のヘッドハンティング会社の社員を名乗る女性から北京で会いたいというメッセージが送られてきた。
現地に行くと、実際に現れたのは3人の中年男性。自分たちの話に乗れば、研究のために「中国のシステムにいくらでもアクセス」できるようにするともちかけてきた。
オバマ前大統領の側近だった元外交官にリンクトインを通じてコンタクトしてきたのは、カリフォルニア工科大学の研究員と称する人物だ。そのプロフィール欄には、ホワイトハウス関係者や大使とも関係があることが書かれている。だがそのような研究員は存在しない。
外国の情報機関はソーシャルメディアを活用して協力者を集めようとしているが、なかでもリンクトインは最高の狩場だ、と西側の防諜機関当局者は言う。
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの情報機関は、膨大な数のリンクトイン・ユーザーに外国のエージェントが接近していると警告を出した。なかでも中国のスパイの活動が最も活発だという。
リンクトイン経由で「勧誘」を受けた、元デンマーク外務省職員のヨナス・パレロプレスナー(Carsten Snejbjerg for The New York Times)

きわめて効率的なスパイ獲得手段