【トレンド】学生起業家が「フードビジネス」に進出する理由

2019/9/1

あえて「困難な課題」に挑戦

大学生は寮の自室でビジネスを立ち上げる。「学生起業家」と聞けばIT企業の創業者が思い浮かぶだろうが、このところ多くの学生が目指しているのは「食の世界を破壊する」ことだ。
フードビジネスの学生起業家は、おいしさにサイエンスを加え、自分たちの製品を市場に送り出している。基本的にはローテクなビジネスだが、食品廃棄や安全規制など、業界ならではの壁もあると専門家は指摘する。
「食品会社を立ち上げることは、たとえばアプリを作ったりするよりはるかに困難です」と、カリフォルニア大学バークレー校の企業支援プログラムで、肉と魚介の代替食品の開発に取り組んでいるリカルド・サン・マーティン教授は言う。
「プログラミングは授業で学べるし、潜在顧客に対してベータテストも実施しやすい。しかし食の世界では、製造場所を探し、支援者を見つけて、州と連邦の規制を守らなければなりません。流通ルートも必要です。そして何より、食べ慣れたものとは違う、新たな味覚を試してみるよう、人々を説得しなければならないのです」
「多くの若い起業家がスナックなどの軽食を出発点に選ぶ」とカリフォルニア州エメリービルを拠点にフードビジネスのコンサルティングを行うCCDイノベーションのカラ・ニールセン副社長は語る。これは「いつも働きづめで、健康的な食べ物を求めていた」ミレニアル世代から始まった流行で、長く続いているという。
(An Rong Xu for The New York Times)

故郷のワッフルを求めて