[東京 30日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比240円57銭高の2万0701円50銭となり、急反発した。朝方は、前日の米国株式市場が上昇したことを受けて、先物主導でほぼ全面高商状でスタート。外為市場でドル/円が106円台で推移したことや、米中対立の緩和期待から安心感を誘っている。ただ、買いが一巡した後は、週末である事情も加わり見送りムードが支配し、日経平均の寄り付きから前引けまでの変動幅は68円35銭と、前場はきょうの高値近辺で引けながらも小動きに終始した。東証1部売買代金は7000億円台と依然として細っている。

中国商務省、米中が貿易を巡り9月の対面協議について話し合っているが、米国側が良い環境を整えることが重要だと表明。その一方、トランプ米大統領は29日、貿易を巡る米中の対立解消に向けて、両国の通商交渉団が同日中に「異なるレベル」での協議を行う予定と語った。

これらを受け、米中貿易摩擦に対する不安が後退し、同日の米国株式市場は主要株価3指数が1%を超す上昇となり、ダウ平均株価<.DJI>は326ドル値上がりして取引を終えた。関税の影響を受けやすいアップル<AAPL.O>は1.69%、マイクロソフト<MSFT.O>などの大型ハイテク株が買われたほか、引き続き小売りセクターが堅調など、物色面での変化が注目されている。そこから景気悪化に対する懸念が和らいでいると見方も出ていた。

こうした流れを引き継ぎ、東京株式市場も主力の輸出関連株を中心に幅広く物色されている。ただ、市場では「日米ともに薄商いで、実需筋の参加に乏しくショートカバーが中心。中国商務省の報復関税は考えていないという姿勢は注目すべき点だが、需給面でみると、ここから上値は戻り売りが厚くなるとみられ、さらに軽快な上昇を演じるのは難しい」(三菱UFJモルガンスタンレー証券・チーフ投資ストラテジストの藤戸則広氏)との指摘があった。さらに、週末のため模様眺めムードが強く、後場も大きな動きは見込めないとみる関係者が多い。

個別では、ソニー<6758.T>、キヤノン<7751.T>などの主力の輸出関連株のほか、指数寄与度の大きいファーストリテイリング<9983.T>もしっかり。このほか、日立建機<6305.T>、ファナック<6954.T>といった中国関連株の上昇が目立った。

TOPIXは1.06%高。東証1部の売買代金は7774億2800万円と薄商いだった。東証33業種では、不動産業を除く他の業種が上昇した。

東証1部の騰落数は、値上がりが1852銘柄に対し、値下がりが215銘柄、変わらずが82銘柄だった。