[東京 29日 ロイター] - 政府は、外資企業が日本企業の発行済株式総数の10%以上を取得する際に義務付けている届け出基準を引き下げる検討に入った。企業活動が安全保障に与える懸念から、中国を念頭に、先行して審査体制を強化した欧米と足並みをそろえる。複数の関係筋が明らかにした。

政府は、10月をめどに現行の審査基準を株式数から議決権ベースに切り替えることにしている。さらに現行の「10%基準」を引き下げる案も検討し、段階的に外資への規制を強める。

出資者の背後に別の出資者が存在する場合にどう審査するかなど多様なケースも想定し、外国為替及び外国貿易法(外為法)の改正に向けた議論を急ぎ、関連法案の早期成立を目指す。

関係者の1人は「米国も欧州も同様の強化策を打ち出した。経済安全保障の分野で日本は出遅れている」と話した。

    出資規制強化で先行する米国は、昨年8月に対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大する新法を成立させた。欧州連合(EU)は今年4月に初となる対内直接投資の審査規則を発効しており、日本でも対応が必要と判断した。

(梅川崇、山口貴也 編集:久保信博)