[東京 28日 ロイター] - 金融庁は28日、2019年度の金融行政方針を公表した。将来の収益性が懸念される地域金融機関には「早期警戒制度」を活用し、早めの経営改善を促す。成長戦略で掲げた地銀再編を容易にする特例法整備に足並みをそろえ、預金保険料率の引き下げも視野に今後、検討を進めることも盛り込んだ。

今年度の重点施策は、1)金融デジタライゼーション戦略の推進、2)多様なニーズに応じた金融サービスの向上、3)金融仲介機能の十分な発揮と、金融システムの安定の確保――を柱とする。

デジタル戦略では、金融と情報技術を融合させたフィンテックやキャッシュレス決済の普及に向け、横断的な金融法制を整備。金融・資本市場の機能強化を念頭に「20年度上期の総合取引所の実現を目指す」と明記した。

国内外の景気は緩やかに回復しているとする一方、米中貿易摩擦などのリスク要因を踏まえ「リスク性資産の市場動向に注意が必要」との認識も併せて示し、将来の収益性に懸念のある地域金融機関には、モニタリングを通じて早期の経営改善を促したい考え。

経営破綻に備えて金融機関が積み立てる預金保険の料率を巡って「あり方の方向性について、関係者による検討を進める」ことも打ち出し、統合や合併で健全性が向上すれば料率を変動させる「可変料率」の導入を検討する。

(山口貴也、梅川崇)