[ローマ 26日 ロイター] - イタリア与党「五つ星運動」と野党の民主党(PD)が連立協議で合意に近付いているもようだ。前週辞意を表明したコンテ氏を新政権でも首相に据えることに反対していた民主党が、反対を取り下げたことを示唆した。

コンテ氏はいずれの政党にも属さないが、五つ星と近い関係にある。

マッタレッラ大統領は五つ星に対し、民主党と新たな連立を組むことで解散総選挙を回避する機会を与えた。大統領は前週、27日に状況を報告するよう五つ星に指示していたが、26日にはこの期限を28日に延長した。

コンテ氏は、五つ星のディマイオ党首と民主党のジンガレッティ書記長(党首)と連立合意の詳細を詰める協議を行うため、仏ビアリッツで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)から帰国した。2145GMT(日本時間27日午前6時45分)時点で、協議は依然続いている。

新政権の首相人事を巡っては、五つ星がコンテ氏を強く推す一方、民主党はこれを拒み、合意の主な障害になっていた。

しかし、ジンガレッティ氏はディマイオ氏との会談後、記者団に対し「新政権を発足させるために取り組んでいる。正しい軌道に乗っていると思う。私は状況を楽観視している」と述べ、「(2020年)予算案をまとめる必要があり、そのためには新しく真剣で権威ある政府が必要だ」と強調した。

また、民主党の上院幹部は党がコンテ氏への反対を取り下げたことを示唆。債券市場ではイタリア10年債利回りがこの日の低水準を付け、独連邦債との利回り格差は200ベーシスポイント(bp)を下回った。

政策や閣僚人事を巡る協議で大きな問題がなければ、新連立政権は早ければ来週前半にも発足する可能性がある。

ただ、反体制政党である五つ星の一般党員の多くは民主党を腐敗した権力層の象徴とみており、連立に反対する可能性もある。

五つ星は重要な決定をインターネット上で党員投票にかけるのが慣例で、今回も党員投票が実施されれば、合意が崩壊するリスクがある。

マッタレッラ大統領は27日に小規模政党と面会し、28日は1400GMT(日本時間午後11時)に民主党と、1700GMT(同29日午前2時)に五つ星と、それぞれ協議する。