[ベルリン 26日 ロイター] - ドイツのIFO経済研究所が発表した8月の業況指数は94.3と、前月の95.8(上方修正)から予想以上に悪化し、2012年11月以来、約7年ぶりの低水準を記録した。貿易摩擦の激化に伴いドイツが景気後退(リセッション)に向かいつつあることが改めて浮き彫りとなった。市場予想は95.1だった。

国内の製造業者は、外需の低迷、トランプ米大統領の「米国第一主義」をきっかけとした関税問題、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感に圧迫されている。

IFOのクレメンス・フュースト所長は「ドイツの景気後退の兆候がさらに増えている」とし、現状に対する企業の満足度が大幅に低下しており、数カ月先に対する悲観的な見方も強まっていると指摘。「企業がこれほど悲観的なのは2009年の金融危機以来で、国内主要産業には一筋の光明さえ見られない状況」だと分析した。

先週発表された8月の購買担当者景気指数(PMI)速報値でも製造業の低迷が続き、サービス業も若干の減速が示された。

VP銀行のアナリスト、トーマス・ギッツェル氏は「ドイツ企業は今後数四半期にわたり気を引き締める必要がある。ドイツ経済の輸出依存がブーメランのように悪影響となって戻ってきている」と述べた。

IFO指数が予想外の弱さとなったことで、政府に対しては今後公共投資拡大で財政出動を増やすよう求める声がさらに強まると考えられる。

第2・四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.1%縮小した。ドイツ連銀は鉱工業生産の落ち込みなどを背景に今夏にかけてもマイナスが続く恐れがあると指摘している。

IFOのエコノミスト、クラウス・ボールラーベ氏は「第3・四半期の経済は良くても停滞止まりで、ドイツは景気後退に直面している」と述べた。

政府が予想する2019年の成長率はプラス0.5%。来年は同1.5%まで持ち直すとしている。

IFOは8月の統計について、自動車部門で改善が見られたものの、エンジニアリング、化学、エレクトロニクス部門の悪化が顕著と指摘した。