[ビアリッツ(フランス) 25日 ロイター] - 米ホワイトハウスは25日、トランプ大統領が23日に発表した対中関税の引き上げについて、大統領はさらに大幅な引き上げをすべきだったと考えていると説明した。

ただトランプ氏は、米企業に中国からの撤退を求めたことについては現時点で実行に移す考えがないことも示唆した。

中国が23日、750億ドル相当の米国製品に対する追加報復関税を発表したことを受け、トランプ大統領は同日、約5500億ドルの中国製品に対する5%の関税上乗せを発表した。

トランプ氏は主要7カ国(G7)首脳会議が開かれているフランスのビアリッツで、5%の関税上乗せについて後悔はあるかとの記者団の質問に肯定的に返答し、驚きが広がっていた。

その後、ホワイトハウスのグリシャム報道官は声明を出し、「トランプ大統領が記者の質問を肯定する回答をしたのは、関税をより大幅に引き上げなかったことを後悔しているためだ」と説明した。

トランプ大統領は関税引き上げの発表に先立ち、米企業に対し中国の代替先を模索するよう命じる考えも示し、中国から撤退し米国に生産を移すことも含まれるとしていた。[nL4N25J3V0]

ムニューシン米財務長官は、トランプ大統領が非常事態を宣言すれば、国際緊急経済権限法に基づき企業に中国からの撤退を命じることができると指摘した。

ただトランプ氏は「私は国家非常事態を宣言することができる。年3000億─5000億ドル規模の知的財産の窃盗や年間総額1兆ドル近い損失を踏まえれば、さまざまな意味で非常事態と言える」としながらも、現時点でそうした措置をとる計画はないと言明。「実のところ、いま中国とは非常にうまくいっている。米中は話をしている」と語った。

ムニューシン長官は、米企業が中国から投資をシフトさせる検討を始めることをトランプ大統領は望んでいるとし、米中摩擦が長引いた場合、米企業にとってそのほうが良いと指摘。FOXニュースの番組で「中国が敬意を持ってわれわれを扱い、公正に取引をする貿易相手国となることを望む」と述べた。

トランプ大統領はビアリッツで25日に行ったジョンソン英首相との会談の際に、新たな対中関税引き上げについて後悔はあるかと記者から質問され、「そうだな」と答えた。別の記者が中国との貿易摩擦を激化させていることに後悔はあるかと尋ねると「何にでも後悔はある」と答えた。

ムニューシン長官はトランプ氏の発言について説明を求められると、大統領は引き続き中国から譲歩を引き出す努力をする決意だと強調した。

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長はCBSの番組で、米国の新たな関税引き上げに対して中国が報復するとは思わないと述べた。「(トランプ大統領の決定は)中国の措置を受けた対応だ。中国がさらなる措置をとるとは思わない」とし、「様子を見る必要がある」と語った。

ムニューシン長官はトランプ大統領と中国の習近平国家主席について、他の分野では関係は良好だが、貿易に関してはいまや「敵」だとの見方を示した。「習氏は依然としてトランプ氏の友人だが、金融の問題や貿易に関してはわれわれは敵になった。前進はしていない」と述べた。