【真相】シャープの「復活」は、本当なのか

2019/8/29
シャープの復活が、「定説」になっている。
2016年8月、シャープは、液晶ディスプレイ事業などの苦戦で経営に行き詰まり、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収された。
当時、シャープには「日の丸連合」を構想する政府系ファンドの産業革新機構も出資を検討し、「日台連合」を掲げる鴻海側と激しく競り合っていた。
だが、シャープは鴻海傘下で、わずか1年で黒字化を果たし、現在も業績は堅調だ。政府主導の「日の丸連合」に入るより、鴻海グループの一員になる選択肢が正しかった、というのが一般的な見方になっている。
だが、実は事はそう簡単ではない。鴻海ならではのスピード感で、勢いを取り戻したのは事実だが、シャープの現状にはまだまだ大きな課題が残っているのだ。
シャープの復活は本物なのか。その真相を、長年シャープを追い続ける記者が3つのポイントから深く検証していく。

1.経営危機の本質を振り返る

シャープは2000年代に最も勢いのあるメーカーの一つだった。