[ローマ 20日 ロイター] - イタリアのコンテ首相が20日、辞意を表明した。コンテ氏は議会上院での演説で、同盟を率いるサルビーニ副首相が自身や党の利益を優先させ、連立政権を崩壊に導いたと強く非難した。

サルビーニ氏は今月8日、反体制政党「五つ星運動」との連立は崩壊していると主張し、総選挙の実施を要求していた。

ただ、同氏の策略は失敗に終わる可能性もある。五つ星は中道左派の野党・民主党(PD)との連立政権樹立を視野に協議を開始しており、実現すれば同盟は野党となり、中道寄りの親欧州連合(EU)政権が誕生することになる。[nL4N25F4AT]

コンテ氏は議会演説で、サルビーニ副首相が高い支持率を利用して「自分自身や党の利益ばかりを追求してきた」とし、「彼の決定はわが国にとって深刻なリスクをもたらす」と批判。「議会を軽視し、国を政治的不確実性と財政不安に陥れた責任がある」とし、サルビーニ氏の行動は「著しく無謀」だと述べた。

演説後、コンテ氏はマッタレッラ大統領に辞表を提出した。大統領は、新たな連立政権発足を模索するため21日から各政党と協議を行うと表明した。

連立政権を発足できなければ、大統領は予定より3年半前倒しで議会解散に踏み切り、今秋にも総選挙が実施される可能性が出てくる。

協議は21日1400GMT(日本時間午後11時)にまず少数政党との間で開始する。22日にはすべての主要政党の意見を聞き、最後に五つ星との協議を1500GMT(日本時間23日午前0時)に終了する。

21日にはPDも幹部会合で五つ星との連携の可能性について話し合う。

コンテ氏の辞意表明を受けて金融市場は上昇した。早期の解散総選挙を回避できるとの期待が高まったとみられる。

イタリアは第2次世界大戦以降、秋に選挙を行っていない。年末にかけての数カ月は予算案策定などに充てられるためだ。

マッタレッラ大統領は五つ星とPDに連立が可能かどうか早急な判断を求める可能性が高い。両党による連立政権を発足できなければ、大統領は議会解散に踏み切り、10月下旬か11月上旬にも総選挙を実施する可能性がある。

コンテ氏の議会演説をこわばった表情で聞いていたサルビーニ氏は反論し、他の政党は選挙で議席を失うのを恐れていると批判した。また、自身は欧州連合(EU)の財政規律の変更を政治的な目標に掲げているとし、イタリア政府は景気刺激に向け少なくとも500億ユーロ(550億ドル)を投入する必要があると主張した。

サルビーニ氏は、コンテ内閣の不信任案を提出した張本人であるにもかかわらず、五つ星との連立解消と前倒し総選挙の実施を、2020年予算案と定数削減など議会改革法案の議会通過後まで先延ばしする用意があると表明。

議会演説で同氏は「議員数を削減してから総選挙を実施する用意がわれわれにはある。総選挙前に大胆な予算案を提出する用意もある」と述べた。

※内容を追加しました。

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