[香港/シンガポール 16日 ロイター] - 香港キャセイ・パシフィック航空<0293.HK>は16日、ルパート・ホッグ最高経営責任者(CEO)と盧家培(ポール・ロー)最高顧客商務責任者(CCO)の辞任を発表した。

香港では週末、抗議集会が予定されている。警察とデモ参加者の対立は10週間に及び、中国の習近平国家主席は就任以来で最大規模の市民抗議活動に直面している。

キャセイ航空を巡っては、逃亡犯条例改正案の撤回を求める抗議活動に多数の職員が参加し、中国の航空当局は安全上の脅威があると警告していた。

ジョン・スローサー会長は声明で、最近起きた一連の出来事により同社の安全性や治安に対するコミットメントに疑問が生じたほか、同社の評判や企業ブランドにも傷がついたとした上で「安全性や治安を常に最優先課題として取り組んできた当社にとって、こうした状況は遺憾であり、信頼回復に向け経営陣を刷新する時期が来たと考えた」と述べた。ホッグ氏は、過去数週間の困難な状況を振り返り、自身やCCOがリーダーとして責任を取ることが適切だと表明した。

ホッグ氏らの突然の辞任は、抗議活動鎮圧を模索する中国が巨大企業や香港に掛ける圧力の大きさを示している。

<週末に抗議集会予定>

週末は抗議活動が予定されている。暴力が激化する中、運動が幅広い支持をつなぎ止められるのかを占う試金石となる。

18日の集会は大規模なものになる可能性がある。安全上の懸念を理由に、行進ではなく香港島のビクトリアパークでの集会開催に許可が下りた。

16日、中心部の公園で開かれた集会には数千人が詰めかけた。

オーストラリアのシドニーやメルボルンでは、香港のデモ参加者を支持しようと数百人が集まった。オーストラリア放送協会(ABC)は、メルボルンで中国寄りのデモ参加者と小競り合いがあったと伝えた。

<香港一の富豪、政府を明確に支持せず>

香港一の富豪、李嘉誠氏は16日、抗議活動が続いていること巡り「中国を愛し、香港を愛し、自身を愛せ」と人々に呼び掛けるコメントを出した。同氏がデモを巡って公にコメントを出したのは初めて。

自由や寛容、法の支配を訴えたが、香港政府や林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を支持するとの言及はなかった。

「政府はデモ隊のメッセージをはっきりと聞いたはずで、解決策を見つけるために真面目に知恵を絞っている」とし、「大義は最悪の結果を招きかねない」とも警告した。

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