[ソウル 15日 ロイター] - 韓国の文在寅大統領は15日、日本が帝国主義の過去を顧みることを望むとした上で、日本側が対話を選択すれば「喜んで手を結ぶ」と述べた。

文大統領は日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説し、自国が優位にある分野を「武器」にすれば自由貿易の秩序が脅かされかねないと警告した。

韓国は、日本が半導体材料などの輸出規制を強化したことを、元徴用工問題を巡る報復と主張している。

文大統領は「われわれは日本が、隣国に不幸をもたらした過去について熟考するとともに、東アジアの平和と繁栄を共にけん引することを望む」と述べた。

ソウル市内では、徴用工だった人を含む数千人が日本大使館へデモ行進した。参加者は「安倍体制を非難」、「元徴用工に謝罪せよ」といったプラカードを掲げ、「戦うぞ」、「補償しろ」と声を挙げた。

梨花女子大学のレイフ・エリック・イースリー准教授(国際関係論)は「最近の韓日関係悪化は、経済的利益が危機に瀕しているということ、相手国の国内政治や地域の安全保障面の深刻な状況に対する認識が欠けていることの表れだ」としたうえで「文大統領の日本に関する発言は、経済協力の重要性を強調し、外交の余地を残したものだ」と語った。

文大統領は、南北関係について、2032年の五輪共同開催や2045年までの統一を達成するために取り組む姿勢を強調した。

これらの目標達成は、はるか先のことだと考えられてきた。北朝鮮は最近、新型短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、北朝鮮の非核化に向けた米朝協議は停滞している。

ただ、文大統領は「北朝鮮による最近の懸念すべき行動にもかかわらず、対話に向けた勢いは揺るぎない」と主張し、日本からの解放100年となる2045年までに和平と統一を達成し、「一つのコリア」となるための基礎をしっかりと築くと表明した。

*内容を追加しました。