[ロンドン 14日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は予想に反して加速し、イングランド銀行(英中銀)の目標を上回った。

7月のCPIは前年比2.1%上昇で3カ月ぶりの高い伸びとなった。6月は2.0%上昇だった。エコノミストの予想平均は1.9%上昇だった。

小売物価指数は前年比2.8%上昇。6月の2.9%上昇から鈍化し、エコノミストの予想と一致した。

7月に就任したジョンソン首相は、合意の有無にかかわらず10月31日に欧州連合(EU)を離脱すると表明。ポンドは対主要通貨で7月に2.4%下落し、今月に入って2016年10月以来の低水準を付けた。

クローズ・ブラザーズ・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、ナンシー・カーティン氏は「インフレ率は依然、中銀の目標付近にとどまっているが、ポンドの下落が続けば上昇する可能性がある」と述べた。

ONSは、7月のインフレ加速について、宿泊料金の上昇や衣料のセール価格が高めだったことが背景と説明。ポンド安が主因だったと判断するのは尚早だと指摘した。

コアCPIは前年比1.9%上昇。6月と同じく1.8%上昇とのエコノミスト予想を上回り、6カ月ぶりの高い伸びとなった。

それでも金融市場は、合意なき離脱リスクを踏まえ、英中銀の次の一手は利下げだと予想している。

生産者物価(PPI)もインフレ圧力の高まりを示した。

製造業の原材料コストに相当する投入指数は前年比1.3%上昇。6月の0.3%上昇から大幅に加速し、すべてのエコノミスト予想を上回った。原材料の3分の2は輸入品で、ポンドが下落すれば価格は上昇する。ただ、ONSは単月のデータでポンド安の影響を判断できないとしている。

完成品の価格に相当する産出指数は前年比1.8%上昇。6月の1.6%上昇、エコノミスト予想をともに上回った。

また、6月の住宅価格は前年比0.9%上昇、前月比では変わらず。ロンドンの住宅価格は前年比2.7%下落だった。