[ロンドン 14日 ロイター] - 英国のジョンソン首相は14日、欧州連合(EU)離脱を阻止しようとしている一部の英議員がEUの「協力者」となり、英国の交渉力を弱めていることで、合意なき離脱の確率が高まっている批判した。

ジョンソン氏は、一部議員がEU離脱を巡る議会の決定を覆す試みを阻止する姿勢を示した数時間後、フェイスブックの質疑応答セッションで反論。「EU離脱を阻止できると考える議員と欧州の友人達との間にひどい種類の『協力』関係が存在している」とし、「われわれの欧州の友人達は譲歩する必要があるが、英議会で離脱が阻止されると彼らが考えれば考えるほど、譲歩しなくなる」と述べた。

ジョンソン氏が使った「協力者(collaborator)」との言葉は、第2次世界大戦中にナチス・ドイツに協力した人々を指すために使われた経緯がある。

これに先立ちハモンド前財務相は、ジョンソン首相の周囲にいる選挙で選ばれていない人々が、合意のないEUからの離脱(ブレグジット)を強行しようとした場合、議会はそうした動きを阻止することが可能だと確信している、と語った。BBCラジオに対して述べた。

ジョンソン首相は、EUが離脱協定案の再交渉に応じなければ、合意のないまま10月31日に離脱を強行すると表明している。一方のEU側は、再交渉に応じない構えを崩していない。離脱協定案は当時のメイ首相が昨年11月に合意したもので、アイルランドとの国境管理問題に関するいわゆる「バックストップ(安全策)」が盛り込まれている。

ハモンド氏は、バックストップ破棄を要求することは、首相周辺のアドバイザーによる破壊的戦略であり、合意なし離脱を「不可避」にするものとして批判した。

ハモンド氏は「交渉のハードルを高く設定して合意なし離脱を不可避にすることは、裏切りだ」と主張。こうした動きは、首相の周りで「糸を引いている」人々による「破壊的駆け引き」との見方を示した。

同氏は「彼(ジョンソン首相)は議会に耳を傾ける必要がある。議会は明らかに合意なし離脱には反対だ」とした上で「議会にはその見解を表明する手段があると確信している」と語った。

ハモンド氏はメイ政権で財務相を3年務めた。ハモンド氏が財務相辞任後、ブレグジットについて公的にコメントするのは今回が初めて。

英議会では議員の過半数が合意のないEU離脱に反対しているとされるが、実際に合意なし離脱の動きを阻止できるのかどうかは不明だ。

前日には、英下院のバーコウ議長が、EU離脱を実現するためのジョンソン首相による議会休会を阻止する意向を示した。英紙テレグラフが報じた。

報道によると、バーコウ議長は英EU離脱実現に向け議会を迂回または休会しようとするあらゆる試みに対抗していくと述べた。

*内容を追加しました。