「もう図書館で働けない」 非正規雇用で10年働いた司書が天職を辞めようと思った理由
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注目のコメント
・給与は約13万5800円、それでも「図書館で働きたい」が約9割
結局ここに全てが集約されている気がします。
給料が安くても働きたいと思う人がいれば、それで回ってしまうという現実。
一方で、記事にもある通り、公共図書館には、郷土資料の管理や社会教育の担い手という重要な役割もあります。ただ単に「本が好き」というだけでは務まらない、専門性の高い仕事。そこまで高い志を持っている学生が、毎年1万人の司書資格取得者にどれだけいるか…根深い問題だと思います。これは「ふーん」で終わらせてはいけない問題だと思うので、しっかり書きます。
記事内のインタビューを見て、こんなふうに語らせてしまっているのは現場が悪いとか仕事としての価値がないからとかではなく、お金が回るようにできていない仕組みが悪いのではないかと僕は思います。
司書に限らず、意味のある仕事だし価値のある仕事なんだけど生活できないっていう仕事は想像以上に多いんだと思います。そして、自分が成ってみてから天職だ!と思える仕事自体さほど多くないでしょう。日本は以前から生産性がーっと言われていますが、それはシステムや仕組みがどうこうではなく、ほぼほぼモチベーションの問題であり、経営者が仕事に主体的に取り組んでくれないと頭を悩ませる共有課題です。
実際に働いている人が誇りを持てる仕事が儲からない、生活できないっていう理由でやめざるを得ない。記事内では「これからなりたいという人はよくよく考えて決めたほうがいい」と忠告されてますが、これを言わせてる社会が僕は面白くない。あまりにも夢が無さすぎる。
僕は図書館がそう運営されていて、そうお金が動いているのかは知りません。けど、形を変えたり仕組みを変えれば可能性はまだあるんだと思います。同じような問題として例えば作家が食べていけなくて専業作家が絶滅しそうになってるとかもビジネスモデルを変革すれば、可能性はあるんだと信じています。
こういう誰かの憧れになったり、誇りを持てる仕事を「喰っていけないんだし、いい加減現実見ろよ」なんてつまらない言葉で粉砕される社会はいい加減変えていきたいと僕は思います。正直,仕事と全然関連性がないため門外漢からのコメントということになり恐縮ですが,図書館情報大(現在は筑波大学に併合されていますが)を志望していた期間が長かったこともあって,どうしても一言だけコメントを残したくなりました。
誤解を恐れずに言えば,大学ではない公営の図書館であっても,「本の貸し借り」に関する業務というのはオマケの業務に過ぎません。
記事にもそうした記載がありますが,図書館は,歴史の中で紡がれてきた「知や文化の結晶」です。
「いかに適切に保管して,それらを後世へと繋げていくか」,「新しく生まれた知や文化を,どのようにして質量共に満足する形で付け足していくか」,そして,「それらを市民にいかに還元させていくか」等について重要な使命を果たすべきであるのが図書館であり,司書さんは,図書館が持つ機能を最大化させるための専門職としての役割が求められている,社会的にも大事なお仕事なのです。
そうしたことを思えば,電子媒体が普及したり,貴重な資料がデジタルアーカイブ化していく流れであっても,図書館や司書さんが不要になると考えるのは早計だろうと私は思います。
図書館や司書さんの機能・役割の本質まで理解できるような機会というのは日常生活を送る上でほとんどありませんし,その金銭的な評価も難しいですから,非正規化や指定管理者への委託の流れが加速しているのだろうとは思います。
ただ,図書館に限らず,公共のサービスには,一見無駄にしか見えないようなものであってもちゃんと意味がある,というものは多いと思います。
時代の流れに合わせた見直し自体はもちろん必要ですし,マネタイズやコスパの目線で考えること自体も有意義だと思いますが,サービスの本質を捉えようとしないうちから,ただ縮小・削減する,職員の待遇を非正規化するということだけは慎んでほしいです。
一方で,今でも様々な工夫がなされているとは思いますが,司書さんの側にも,もっと社会との接点を積極的に増やしていく,新しい専門性を高めていくといった,これまでとは違う取り組みが求められているのかもしれません。