【マネーの真相】各国政府がリブラを恐れる本当の理由

2019/8/17
米フェイスブックが計画を公表した暗号通貨「Libra(リブラ)」に対し、先進国の通貨当局(財務省、中央銀行)がそろって懸念を表明している。
「多くの人が悪意ある行動の資金のため暗号資産を使おうとしている。国家安全保障の問題だ」(アメリカのムニューシン財務長官)
「先入観は抱かないが、門戸開放というわけではない」(イングランド銀行〈イギリスの中央銀行〉のカーニー総裁)
米下院で行われた公聴会でも、リブラに対する批判が噴出した(写真:ロイター/アフロ)
フェイスブックの利用者は世界約24億人。リブラの計画を発表した6月時点では、2020年に開始するとしていたが、フェイスブックは必要な承認を受けるまでリブラを導入しないとしており、先行きは不透明だ。
いったいリブラの何が問題なのか。果たして、リブラが世界の貨幣にとってかわる事態は起きるのか。
『貨幣進化論』(新潮社)などの著書を通じてお金の本質を見つめてきた岩村充・早稲田大学大学院教授が、リブラ騒動を読み解く。
見えてきたのは、通貨の本質と、現在の通貨が抱える問題だ。
岩村 充(いわむら・みつる)早稲田大学ビジネススクール教授。1950年生まれ。74年東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。企画局兼信用機構局参事などを務める。98年より現職。近著に『中央銀行が終わる日』(新潮社)、『金融政策に未来はあるか』(岩波書店)

円やドル、リブラはみな同じ