[13日 ロイター] - コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーが米国の人種間の貧富の差についてまとめた調査によると、アフリカ系米国人の多くは銀行など主流の金融サービスを十分に利用できないことが貯蓄の障害になっている。

米国の非白人地域では銀行が比較的少ないため、マイノリティーの多くは小切手現金化窓口など銀行より手数料の高いサービスの利用を強いられている。調査では、普通預金や貯蓄口座といった基本的な銀行サービスへのアクセスを拡大することで、アフリカ系米国人は一生のうちに1人当たり4万ドルを節約できると試算した。

報告書をまとめたマッキンゼーのパートナー、シェリー・スチュワート氏とジェーソン・ライト氏は「アフリカ系米国人は最善の貯蓄手段となり得る金融機関から十分なサービスを提供されておらず、過剰な費用を課されている」と指摘した。

調査によると、白人が多数居住する地域には人口10万人当たり平均41の金融機関があるのに対し、非白人が多数を占める地域では平均27にとどまっている。一方、給料を担保に貸し付けるペイデイ(給料日)ローンなど比較的金利の高いサービスは黒人地域でより多く見られる。

さらに、黒人地域にある銀行が手数料免除に必要な最低口座残高として設定している額は平均871ドルと、白人地域の626ドルを上回っているという。

連邦政府の統計によると、白人家庭と黒人家庭の純資産の差は過去20年で拡大している。2016年時点で、平均的な白人家庭の純資産は17万1000ドルと、黒人家庭(1万7600ドル)の約10倍となった。ヒスパニック系家庭は2万0700ドルだった。

マッキンゼーは、人種間の格差が縮小すれば、投資や消費の拡大を通じて米国内総生産(GDP)が2028年までに最大6%増加する可能性があると指摘した。

人種間の貧富の差は、米民主党の大統領候補指名を目指すウォーレン上院議員がマイノリティー起業家への支援などを盛り込んだ格差是正案を公表したことを受けて、選挙戦の論点の1つとなっている。