【核心】日本の漁業は「忖度」が滅ぼす

2019/9/6
日本の水産資源は復活できるのか──。
長らく、研究者や国際機関から指摘されてきた国内の水産資源の問題に、ついにメスが入ろうとしている。
2018年12月、70年ぶりに漁業法が改正されたのだ。
1984年をピークに漁獲量が低下している原因は、中国の漁業の台頭や地球温暖化などの外的要因よりも、漁業者の乱獲や、グローバルスタンダードと乖離した漁業政策など、日本の「国内問題」が主因だった。
そもそもなぜ、日本の漁業政策はうまく機能してこなかったのか。そして、今回の法改正により、改善は見込めるのか。
NewsPicksは、法学者という立場から水産保全を研究し続けてきた学習院大学の阪口功教授に、話を聞いた。
阪口功(さかぐち・いさお)/学習院大学法学部政治学科 教授
1971年生まれ。2004年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻・博士(学術)取得。イェール大学国際地域研究センター客員研究員、日本学術振興会特別研究員などを経て、現在に至る。17年、ピュー・チャリタブル・トラスツの海洋フェロー賞を受賞。主な著書に『日本の水産資源管理:漁業衰退の真因と復活への道を探る』(共著、慶應義塾大学出版会)『グローバル社会は持続可能か』(共著、岩波書店)など。

魚が減った「本当の理由」

日本の水産資源が減少した主な原因は、漁業者による魚の乱獲です。
乱獲を防ぐための規制は政府が担っているはずですが、それもきちんとなされてきませんでした。