[東京 9日 ロイター] - 内閣府が9日発表した2019年4─6月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.4%、年率換算でプラス1.8%となり、3四半期連続のプラス成長となった。ロイターの事前予測の年率0.4%を大きく上回った。中国経済減速など外需の悪化を民間最終消費や設備投資の好調が上回り、プラス成長を維持した。

プラス成長を支えたのは、主に民間最終消費と設備投資、および公的需要。

消費は前期比プラス0.6%。これで3期連続プラスを維持した。雇用者所得の増加傾向を背景に、新型車効果で自動車販売が伸びたほか、エアコンなど家電販売も好調、また10連休効果で旅行やサービス消費も寄与した。

設備投資も同プラス1.5%と3期連続のプラスとなった。省力化投資などが堅調だったほか、建設投資も伸びた。

その他、住宅投資や政府支出、公的資本形成、民間在庫投資なども合わせた内需は前期比プラス0.7%と大きく伸びた。

他方で、外需はマイナス0.3%となった。輸出は同マイナス0.1%と伸び悩んだ。内閣府によると、法務や会計など企業向けサービスが減少に寄与した。アジア向け輸出がさえず、情報関連財や一般機械なども足を引っ張っている。

輸入は、内需が好調な中で前期に大きく落ち込んだ反動でプラス1.6%と輸出を上回る伸びとなり、外需を下押しした。

1─3月期の名目成長率は前期比プラス0.4%と実質と同じ伸び。GDPデフレーターは前年同期比プラス0.4%だった。

茂木敏充経済財政相はGDPを受けて談話を発表し、「海外経済の減速などから外需はマイナスに寄与したものの、個人消費・設備投資は堅調に増加し、内需を中心とした緩やかな回復を示す結果となった」との認識を示した。今後については「中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融市場の変動の影響に留意する必要がある」とし、10月の消費税率引き上げを控え「経済運営に万全を期す」とした。

また同相は会見で、足元で陰りが見られる消費マインドに関して「海外リスクがマインドに影響しているため、リスクが顕在化した場合、躊躇(ちゅうちょ)なく対策を取る」と強調した。

*内容を追加しました。

(中川泉 伊藤純夫 編集:石田仁志)