【分析】他業種と比較。「吉本興業」を企業構造から考える

2019/8/12
「会社が膿を出して、きちんと明確にやってくれないなら、僕が全員芸人連れて(吉本興業を)出ますわ」(ダウンタウン 松本人志)。
「この社長、会長の体制が続くんだったら吉本興業辞めます」(極楽とんぼ 加藤浩次)
こうした芸人の発言を受けて、吉本興業は8日、所属するタレント6000人と「マネジメント契約」もしくは「エージェント契約」を交わす方針を示した。
所属する個人の発言が、時に経営者よりも影響力を持ち、組織全体の方向を決定することがある。
一連の騒動で、吉本興業ホールディングスは、普通の会社ではあり得ない、独特な組織だということが明らかになった。
芸人と会社は一体どんな関係なのか。吉本興業をひとつの企業と捉えたときに、どんな独自性が見えるのか。
中小企業経営論を専門としている東洋大学の山本聡教授の寄稿をお届けする。
山本聡(やまもと・さとし) /東洋大学教授。1978年生まれ、東京都出身。2002年慶應義塾大学商学部を卒業。2012年に東京経済大学で専任講師、准教授、2019年から現職。専門は中小企業経営論。近著に「中小製造業のM&Aと事業成長における企業家的情熱、使命感、やり抜く力」(日本政策金融公庫論集)、「日本の中小製造企業とドイツ企業の取引に介在する内発的動機」(ベンチャー・レビュー)などがある。
吉本興業と芸人の「系列」関係
非上場企業である吉本興業は、一部の官報での開示を除いて、財務的な情報開示をしていません。2009年の上場廃止以降は、経営数字はベールに隠れています。
一方で、芸人だけでなく、社員や役員もテレビに出ていて露出が多い。会社としての知名度も抜群。このギャップが、吉本興業という企業の面白さです。
本稿では、その特殊性について、分析を試みます。