[ロサンゼルス/チャールストン(サウスカロライナ州) 7日 ロイター] - 米民主党の大統領候補指名を目指すバイデン前副大統領が7日にアイオワ州で行う演説で、テキサス州とオハイオ州で相次いで発生した銃乱射事件の背景にあったとみられる白人至上主義をトランプ大統領が助長させていると非難することが分かった。

米国では3日にテキサス州エルパソで発生した銃乱射事件で22人が死亡。その13時間後にオハイオ州デイトンで発生した銃乱射事件では9人が死亡した。当局によると、エルパソの事件を起こした男は移民に対する憎悪を募らせていた。

バイデン氏はアイオワ州バーリントンで行う演説で「2つの事件が明らかに示すのは、現職の大統領が米国における白人至上主義を助長させているということだ」と述べる。

トランプ大統領は中南米から米国を目指す移民を「侵略」と表現してきたが、バイデン氏はこれについて「エルパソで銃乱射事件を起こした男は『ヒスパニック系住民によるテキサス州への侵略』への対応だったとしているが、トランプ氏の『これは侵略である』との発言は、これとどの程度乖離しているのだろうか」と指摘。「米国の最も暗い陰の勢力と結束する人物を米国は大統領に擁している。この大統領は毒舌を吐き、政治戦略としての憎悪、分離、人種主義を悪びれもせずに公言してきた」と述べる。

同じく民主党の大統領候補指名獲得を目指すコリー・ブッカー上院議員は、サウスカロライナ州チャールストンで行う予定の演説で「憎悪に基づくこうした事件は何もない所では発生しない。植え付けられて初めて発生する」と述べる。チャールストンでは2015年に白人至上主義者を名乗る男による銃乱射事件が発生し、9人が死亡している。

週末の間に2件の銃乱射事件が相次いで発生したことを受け、米国ではトランプ氏の扇情的な発言が背景にあったとの批判が高まっている。

トランプ氏は自身が人種差別主義者ではないと繰り返し表明。5日には2件の銃乱射事件を受け、「人種差別や偏見、白人至上主義は非難されなければならない」とし、「米国に憎しみの居場所はない。憎悪は精神を歪め、心を荒廃させ、魂をむしばむ」と述べた。

トランプ氏は7日、事件が起きたエルパソとデイトンを訪問する。