【新】北越・王子製紙買収合戦で直面した「株式会社の本質」

2019/8/6
アスクル、日産自動車、LIXILグループ──。
今年に入り、経営権を巡る争いやコーポレート・ガバナンスの問題が相次ぎ発覚している。
こうした時代の到来を予見する経済小説を20年以上前から発表し、企業の買収防衛に数多く関わってきたのが「M&Aの守護神」と呼ばれる牛島信弁護士だ。
牛島氏が2017年末に発表した小説『少数株主』(幻冬舎)は、非上場企業の経営者と少数株主との間の対決を描いている。
非上場企業といえば、5月に文房具最大手コクヨが、非上場の同業ぺんてるに事前協議なく間接出資を行い、対立が表面化したばかり。
非上場企業が抱える経営権や株主の問題が続出することを予言するかのような小説に、改めて注目が集まっている。
数々の企業経営者が頼る敏腕弁護士は小説を通じて何を世に問いかけようとしているのか。牛島氏に聞いた。

非上場企業では「私物化」が当たり前

──小説『少数株主』を執筆した動機は。
牛島 コーポレート・ガバナンス(企業統治)を考える時、以前は当然のように上場会社を前提に考えていました。しかし、コーポレートガバナンスの問題は、上場・非上場にかかわらず株式会社そのものの問題だと思い立ったのが出発点です。