[香港 4日 ロイター] - 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動は全く収まる気配が見えない。4日は一部デモ隊を警察が強制排除する事態が発生し、香港政府はこうした行動が香港を「極めて危険な瀬戸際」に追い込んでいると強く非難する声明を発表した。また中国国営新華社は、同国政府も事態を放置しない考えだと伝えた。

5日はゼネストも予定されている。空港では多くの便の欠航が表示され、複数の報道などによると、これは空港職員がストを行うとみられるためだ。

4日夜には覆面をした数百人が主要道路を占拠したほか、信号機にスプレーを噴射し、香港島と九龍半島をつなぐ海底トンネルの入口付近の通行を妨害。繁華街のコーズウェイベイ(銅鑼湾)では、警官隊が催涙ガスを使って強制排除に乗り出し、周辺の店舗やショッピングモールなどが閉店時間を早めざるを得なくなった。

警察の発表では、3日以降に非合法的な集会や暴力行為などで20人を拘束したという。

香港政府は、暴力的かつ違法な活動が広がっており、これらはもはや平穏で理性のある抗議の枠を超え、香港社会と経済生活を損なうことになると強調した。

一方デモに参加した21歳の男子学生は「われわれは政府に対して逃亡犯条例(の完全撤回)と警察による捜査および暴力を止めるよう訴えている」と述べ、特に政府が要求に応えていないことと、警察の暴力の実態調査に乗り出さないことに、腹を立てていると付け加えた。

一連のデモは、現在は凍結された逃亡犯条例改正案への抗議として始まったが、現在の要求内容は民主主義の拡大と林鄭月娥行政長官の辞任へと移ってきている。しかし、民主派からは「行政長官が辞めても解決にはならない。全ては中国共産党と中国政府こそが根源だ」との声も聞かれた。