【独白】独立騒動「のん」社長が語る、芸能界の3つの問題

2019/8/1
今から5年前、テレビからある人気女優が姿を消した。
NHK朝ドラの「あまちゃん」で大ブレイクを果たした能年玲奈だ。能年は、それからも数々のテレビドラマに出演し、スター街道を走り抜けるはずだった。
しかし事務所との関係がこじれたために、テレビ番組で見かけることはなくなった。
そして3年前に、新しいエージェントと契約し、「のん」の芸名でSNSやCMを中心に活躍している。
なぜ人気女優がいまだにテレビ番組に出られないのか。芸能人は、なぜ事務所を移籍しただけで干されてしまうのか。
NewsPicksは、現在のんがエージェント契約を結ぶスピーディの福田淳社長を直撃した。特集4話目は、「のん」移籍の実話と、芸能界が抱える問題点をお届けする。
ジャニーズや吉本興業の問題で芸能界の在り方が問い直されている今、改めて「のん騒動」を振り返ってみよう。
福田淳(ふくだ・あつし)/1965年大阪府生まれ。日本大学芸術学部卒業後、東北新社に入社。その後ソニーグループで、テレビ局の立ち上げやハリウッドビジネスになどに長く関わる。2007年ソニー・デジタルエンタテインメントを創業。2017年に現在代表を務めるスピーディを創業する。

のんは「5年間」干されている

──ジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意喚起を受けた後、福田社長は個人ブログで見解を述べ、話題になりました。
我々の会社は今、2015年に独立騒動が報じられたのんのマネジメントに関わっています。
騒動の当事者の一人ということもあり、この業界は明らかに変わらなければいけないという思いから、問題提起をしています。
しかし、世間の捉え方は辛辣(しんらつ)で、「かわいそうなタレントを拾った人がここぞとばかりにほえている」と受け止められています。
ですが、今回の取材にしてもそうですが、私はただのんの売り込みをしたいわけではありません。
私はこれまで約30年間、エンターテインメントの世界で生きてきました。日本でも米国でもコンテンツに関わっている。30代でソニーグループに入社して、2007年にソニー・デジタルエンタテインメントの社長に就任しました。
2017年にソニーを離れ、現在はコスメブランドやメディアのブランドコンサルティングを中心とする会社の経営をしています。
──のんのような、タレントのエージェント業務も主力事業なのですか。
いえ、実はコアビジネスではありません。事業の中において、エージェント業の売り上げは10%にも満たない規模です。つまり、正直に申し上げると、会社の経営的にはあってもなくても良い。
だから、今回のジャニーズや吉本興業の騒動に便乗して、のんを世間に売り込もうという意図は全くありません。目的はただ一つ。芸能界を変えることだけです。