WTO理事会で韓国への輸出規制議論へ
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経産省が韓国を輸出規制のホワイトリストから外すことを発表したとき、わたしたちの誰もが「これはレーダー照射や徴用工問題への報復措置だ」と思ったはずです。
実際に海外各国ではこれが報復措置であるということを前提に報道がなされており、安倍首相自身も7月7日に出演したフジテレビの報道番組において、日韓請求権問題について「韓国は国と国との約束を守らないことが明確になった。貿易管理において、守れないと思うのは当然ではないか」と発言しています。
ところが現在では「これは報復ではなく、ただ単に優遇措置を解除しただけであって、友好国のインドと同じ対応になっただけだ」という論調が日本国内での主流になっています。
なるほど、現在行われているWTOでの争いを有利に進めるためのロジックであることは理解できます。
しかし、何を根拠として優遇措置を解除したのかという点について、わたしたちはその嘘、「フィクション」に寄りかかったまま、自分の頭で考えることを放棄しているのではありませんか?
世の中には三つの嘘があります。
ひとつ目は、根も葉もない大嘘。わたしも大好きですが、なかなかお目にかかる機会がありません。
二つ目は、嘘を描くことによって、より本質的な真実を照らし出すというもの。小説や映画などで使われている手法です。
最後は、ひとつひとつは事実だが、それらを繋げると虚構になる、というもの。
この嘘がいかに罪深いかは、昨今のメディアの凋落を見るだけでも明らかでしょう。
たしかに、古代ローマのアウグストゥス帝のように、こうした嘘(フィクション)を巧みに用いた政治家もいました。
しかし、そのためにはそれがフィクションであるということを正しく理解し、毒を毒として用いる技量が必要です。
翻って、わたしたちはどうでしょうか。
自分自身の考え方や感情が、どのようなバイアスを経て形成されたのか、そうしたことを把握しないまま、他人が考え出したロジックを盲信し、「自分で考えたつもり」になってはいないでしょうか。
わたしたち日本人は、いつの間に知的怠惰な、感情を優先させて自分の頭で考えないような民族になってしまったのでしょうか。
もう一度、今回の事態がわれわれ日本人にとって、そして100年後の日本にとってどのような価値を産むのか、もしくは毀損するのか、立ち止まって考える時に来ているのではありませんか?