[ニューヨーク 19日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は19日、米ニューヨークで中銀会合のパネルに出席し、雇用を後押しする政策ツールとして財政支出の活用を提唱する経済哲学に反対する考えを示した。
財政拡大論である「現代金融理論(MMT)」には「全く賛同できない」と述べた。経済・金融政策の先行きに関しての発言はなかった。
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[ニューヨーク 19日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は19日、米ニューヨークで中銀会合のパネルに出席し、雇用を後押しする政策ツールとして財政支出の活用を提唱する経済哲学に反対する考えを示した。
財政拡大論である「現代金融理論(MMT)」には「全く賛同できない」と述べた。経済・金融政策の先行きに関しての発言はなかった。
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アジア開銀の総裁もなされた方なので、アジアの通貨危機等の歴史を含めて財政政策の節度を重く見られていると推測します。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/ko171128a.htm/
MMTは基本的に「観察された事実」しか述べていない。
※一部、JGP等の政策提言もあるが、それは枝葉。
MMTを否定するなら、「机上の理論」ではなく、「事実」をもって「MMTが主張する事実」を否定するべきだ。
殆どのMMTを否定する意見は、MMTが主張していない事を持ち上げてMMTを否定している。
現に、「事実」に対する国会での質疑について、雨宮日銀副総裁はMMTの主張である「"政府が国債を発行する際、市中の貨幣を集めて借りている"のは誤りで、正しくは政府は何も無い所から突然国債を発行でき、その際な同額の銀行預金が新しく発生する。」と述べている。
この事実が広まると自らの政策提言が誤っているとバレてしまう黒田日銀総裁の答弁はこれを誤魔化し、「政府は何も無い所から突然国債発行をでき、その際に同額の銀行預金が新しく発生するか?」の問いに対して「最終的には民間の信認によりファイナンスされるので、新しく発生させるのが好ましくない場合がある」などとクローズクッションに対して斜め上の答弁を行った。
そりゃ過度なインフレなら発行が好ましくないだろう(MMTでもそう主張している)。
MMT否定の方は、雨宮副総裁の説明が事実ではないと述べるなら、その根拠を述べるべきだ。
また、MMTが主張する事実は、
・財政赤字が拡大していくとインフレ率が上昇する。インフレ率が上昇すると金利が上昇する。
・マネタリーベースをいくら増やしても、金利とは関係ない。
・インフレ率は、財政赤字の大きさによりコントロールする事ができる。
・自国通貨建てを債務をいくら増やしても、過度なインフレにならない限り財政破綻しない。
・通貨が価値を持つのは、その通貨で納税義務を回避できるからだ。国民は納税義務を回避する際に生産を行うため、通貨は国民経済を成長させる「手段」であって、それ自体に価値は無い。
・その他、税金は格差の解消、国民の特定の方向への誘導、インフレ率の安定化の目的で実施される。従って、税金の目的は財源ではない。
と言う感じのはずだ。
「理解不能だけど、取りあえずMMTは完全に間違っている!」系の見解はお腹いっぱいだ。
MMTを否定するなら、他の「観察された事実」をもって否定すべきだ。
日本で際限なく国債を発行すれば際限なく内需が刺激されますが際限なく資源を輸入しなければならなくなります。この貿易収支赤字が製造業の海外工場からの所得収支黒字を超えたときに日本の経常収支は赤字に転じます。財政赤字と経常収支赤字の日本盤双子の赤字状態となるわけです。外貨は枯渇し基軸通貨でない円はドルと交換しなければ資源を買えないので下落します。日本はコストプッシュインフレになります。また日本製品の競争力増大を意味する円安を米国は決して許さないでしょう。
一方で英国がそうだったように外貨のなくなった日本はヘッジファンドの恰好の餌食になります。そのとき円は暴落しコントロールするには日本の対外純資産300兆円のうちの政府保有分を取り崩して対応せざるを得なくなります。この場合のインフレは政府が対処できるものではありません。
MMT理論は基軸通貨を持つ国、即ち米国にしか通用しない屁理屈なんです。
加えて日本の現在の財政赤字が大丈夫なのは製造業海外支店による所得収支黒字を政府が一旦借り上げて内需産業をファイナンスしているだけだからであり、決して日本がMMT理論の好例になっているからではありません。
もし万が一MMTが正しければ例えば中国は絶対に破綻しません。
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